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2016年10月6日

平成28年度第59回秋季日本歯周病学会学術大会開催

「良質な超高齢社会をむかえるための歯周病管理」をテーマに2,200名が参集

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 さる10月6日(木)から8日(土)の3日間、朱鷺メッセ(新潟県)において、平成28年度第59回秋季日本歯周病学会学術大会(佐藤 聡大会長、和泉雄一理事長)が平日開催にもかかわらず、2,200名の参加者を得て盛大に開催された。8日のシンポジウムや認定医・専門医教育講演ではホールが満杯になり、サテライトホールも設けられるなど、盛況であった。

 本学会も他の学会が多く取り上げている超高齢社会をにらみ、「良質な超高齢社会をむかえるための歯周病管理」をテーマに掲げ、特別講演I「超高齢社会の医療介護政策の展望と歯科界への期待」(辻 哲夫氏、東大特任教授)、シンポジウムI「病診連携による歯周治療の役割」(高柴正悟座長、岡山大教授)、歯科衛生士シンポジウム「お家に行こう!―いま求められる、食支援―」(伊藤 弘座長、日歯大准教授)、歯科衛生士教育講演「がん治療を口から支える歯科衛生士の役割―超高齢社会、多歯時代を迎えて」(久野彰子氏:日医大)など、関連プログラムが目白押しとなった。また、Dr. Gunnar Dahlen(スウェーデン・イエテボリ大教授)、Dr. Niklaus P Lang(スイス・ベルン大教授)の2名のこの領域の重鎮を招聘した特別講演2題、韓国の歯周治療の現状を解説した韓国歯周病学会代表講演(Dr. Kiyoung Cho)、近々に迫った日本歯科医学会総会への誘いとなった日本歯科医学会会長講演(住友雅人氏、日本歯科医学会会長)、シンポジウムII「日本におけるインプラントの課題と展望」(申 基●(てつ)座長、明海大教授)、倫理委員会企画講演「再生医療の規制と倫理―大学病院における再生医療新法への対応」(中田 光氏、新潟大教授)、認定医・専門医教育講演「歯周炎の予後に咬合性外傷が与える影響について」(坂上竜資氏、福歯大教授)、ランチョンセミナー7題、スイーツセミナー1題、Sunstar Young Investigator Award口演のほか、多くの一般演題口演、一般演題ポスター、歯科衛生士口演、臨床(認定医・専門医)ポスター、歯科衛生士症例ポスターなどが催された。

 とくにシンポジウムII「日本におけるインプラントの課題と展望」(申 基●(てつ)座長、明海大教授)もタイトルにはないが、これも超高齢社会を意識したシンポジウム。高齢化するインプラント患者のリスクとして清掃困難、インプラント周囲炎をあげて注意を喚起した「高齢化した口腔インプラント患者への対応」(渡邉文彦氏、日歯大新潟教授)、歯周病原細菌がインプラントに関与すること、歯槽堤の吸収によるインプラント埋入部位の骨量不足、インプラント周囲における角化粘膜の不足、インプラントに隣在する天然歯における歯槽骨の吸収および角化歯肉の不足の4つの問題点を整理した「歯周病患者に対するインプラント治療の問題点とその対応」(林 丈一朗氏、明海大准教授)、天然歯保護のためのインプラント治療を提案した「インプラント治療における歯周基本治療の重要性」(若林健史氏、東京都開業)の3題で、歯周基本治療の重要性を改めて訴えるものとなった。

 また、初日の特別講演I「超高齢社会の医療介護政策の展望と歯科界への期待」(辻 哲夫東大特任教授)では、今後の超高齢社会に必要となる考え方が披露された。辻氏はいわゆる"柏スタディ"の中心的存在であり、この領域をリードしている人物で、口腔機能の低下(フレイル)をいかにして遅らせるかとの考えに、参加者は真剣に耳を傾けていた。


[●は吉ふたつ]