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2016年10月9日

大信貿易 45周年記念フォーラム開催

業界を牽引する国内外の臨床医が、半世紀にわたるインプラント治療と今後の展望を語る

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 さる10月9日(日)、10(月)の両日、大阪国際会議場(大阪府)において、大信貿易 45周年記念フォーラム(大信貿易株式会社主催、中島 賢代表取締役社長)が、約300名以上の聴講者を集め、盛大に開催された。

 1日目の最初はNiklaus P.Lang氏(香港大名誉教授)が登壇し、インプラント治療におけるオッセオインテグレーションについて概説。チタンはその生体親和性、他金属に比べた腐蝕性への強さから、骨との結合が直接的に図られていると語った。さらには、インプラントにかける荷重の理想的な時期について言及した。

 高橋恭久氏(東京都開業)は、インプラントへの荷重、特に剪断荷重に留意すべきとの警鐘を鳴らした。また、デジタルトルク値の管理の重要性に触れ、適正なトルクでインプラントを締結するためのラチェットレンチ、トルクドライバーなどを紹介した。

 中島 康氏(大阪府開業)は、ヨーロッパではすでに大きなシェアをもつスウェーデン&マルティナインプラントの特長についておもに解説。幅広いラインナップを兼ね備え、さまざまな症例に適応できると述べた。また、豊富な動画とともに自身の症例を供覧した。

 梅原一浩氏(青森県開業)は、インプラント治療におけるデジタル化に言及。診査・診断、治療計画、外科・補綴治療、治療後再評価などすべての過程においてデジタルデータが有効に活用できると述べた。

 飯島俊一氏(千葉県開業)は、これまで手掛けてきた長期症例を振り返るとともに、自身が開発したインプラントの有効性について語った。

 梅田和徳氏(東京都開業)は、長年の豊富な治療経験から、最近のインプラントの傾向として若年者の症例、少数歯・単独歯欠損、トラブル症例が増えていると語った。そして、各種手法を用いながら、転院してきた患者にリカバリーを行ったケースなどを供覧した。

 横山隆道氏(広島県開業)は、大信貿易社との長年にわたる関係性と、歩んできた臨床の道のりを振り返ると共に、多くの長期症例を紹介し、会場の耳目を集めた。

 武田孝之氏(東京都開業)は、30年以上にわたる自身のインプラント治療の経験を語るとともに、超高齢社会の現状について解説。合併症や再介入を前提としたインプラント治療の重要性を説いた。

 Daniele Botticelli氏(香港大名誉教授)は、インプラントの埋入深度、またインプラントと接しているのが既存骨と人工骨かによって周囲骨の保存状況に差異があるか否かにについて文献考察、また組織学的観点から解説し、必ずしも既存の定説を盲信しないよう、聴講者に向けてメッセージを投げかけた。

 2日目の最初も、まずはBotticelli氏が登壇。おもにサイナスリフトで造成した骨の組織学的な検証をテーマに講演を行った。また、米澤大地氏(兵庫県開業)は、単独歯欠損症例におけるインプラントでの負荷が骨治癒に与える影響について解説した。

 中田光太郎氏(京都府開業)は、近年世界的に注目を集めているGingival Augmentationについて解説。口蓋から結合組織を採取し、根面被覆を行うテクニックを天然歯、インプラント周囲組織に応用した症例などを供覧した。

 三好敬三氏(東京都開業)は、歯槽頂から専用の器具を用いてアプローチするサイナスリフトテクニックのポイントについて解説。また上顎洞粘膜穿孔を起こした際のリカバリーについても詳しく説明した。

 田中譲治氏(千葉県開業)は、新たな歯科材料として注目を集めるPEKK材の特性と、インプラント上部構造への応用について解説した。

 松井孝道氏(宮崎県開業)は、長年その対応法に試行錯誤を重ねてきたインプラント周囲炎の治療法に言及。特にβ-TCPエアアブレイジョンの除染効果の高さと、ケースによってはチタンキュレットを応用することの有効性について述べた。

 細山 愃氏(新潟県開業)は、初診以来、42年間予後を追ってきた一症例の経年変化について詳説。欠損が増加していく過程、口腔内においてインプラント増えていった経緯とその原因などを考察した。

 白鳥清人氏(静岡県開業)は、これまで自身が行ってきた各種骨造成テクニックを振り返るとともに、現在応用している吸収性メンブレンを用いたインプラント外科について解説した。

 勝山英明氏(神奈川県開業)は、生涯にわたる顎骨の成長により埋入したインプラントの位置が変わる可能性に関する考察、また自身が参加したAOコンセンサス会議において議論された内容などを紹介し、今後のインプラント治療の展望を語った。

 最後には再びNiklaus P.Lang氏が登壇。非常に緻密かつ幅広い視点から患者の診査・診断を行う必要性を強調した。

 なお、2日目には別会場にて歯科技工セッションも併催され、盛況を博した。