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2016年10月16日

DHスタディグループKOKO、2016年度秋の特別講演を開催

天野敦雄氏による歯周病の最新の病因論に、参加者の耳目が集まる

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 さる10月16日(日)、名古屋国際会議場(愛知県)において、DHスタディグループKOKO(石原美樹代表)による2016年度秋の特別講演が開催された。今回は「21世紀のペリオドントロジー ―バイオロジーに基づいた診断・治療・生涯マネージメント―」をテーマに、講師として天野敦雄氏(阪大大学院歯学研究科口腔分子免疫制御学講座予防歯科学分野・教授)が招聘され、最新の病因論に基づいた歯周治療について終日講演が行われた。当日の参加者は、本スタディグループ主催の特別講演としては初の200名超えという盛況ぶりであった。

 天野氏はまず、再生医療の最新情報など、歯科医療が変貌している現状を提示した一方で、全世界で蔓延している歯周病を人類は克服できていないことを問題提起した。そのうえで、「歯周治療を行う専門職として、われわれは歯周病がなぜ、どのように発症するのか、その病因論を適切に理解しなければならない」と述べた。

 その後、午前中は主に、21世紀の科学が明らかにした最新の病因論について詳説。プラークの高病原化によって、歯周ポケット内で潰瘍面が形成され、出血すると、血液が歯肉縁下プラークに供給される。結果、歯周病菌は著しく増殖し、さらに病原性が高まることで歯周炎が発症する。こうした病因論をふまえ、氏は「歯周治療の最大の目標は出血を止めることである」と強調した。また、歯周ポケットからの出血が自然に止まらない理由や、歯周病菌を口腔内から完全に駆逐することができない理由について説明したうえで、定期的なプロフェショナルケアの必要性について説いた。

 午後は、まず歯周病菌については量よりも質が重要である根拠を示したうえで、それを知るための有効手段である細菌検査について紹介した。次に、歯周治療のもう1つの大きな目標として口臭改善を挙げ、その診断と治療についても解説した。最後に、歯周病と全身疾患に関する最新情報をまとめ、約5時間にも及ぶ講演の締めくくりとした。

 歯科衛生士向けにわかりやすく噛み砕かれた内容と、天野氏ならではの軽快な語り口とが相まって、参加者は氏の講演に引きこまれていた。講演後の質疑応答では、制限時間いっぱいまで数々の質問が投げかけられ、会場は終始熱気に包まれていた。

 なお、講演中に氏が触れた侵襲性歯周炎の最新情報については、『歯科衛生士』2017年1月号にて特集を掲載予定。