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2016年11月20日

第1回日本子ども虐待防止歯科研究会学術大会開催

子どもの虐待をなくすために全国の歯科医師らが参集

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 さる11月20日(日)、歯科医師会館(東京都)において、日本子ども虐待防止歯科研究会(渡部 茂会長、高橋哲夫大会長)による初の学術大会が開催された。テーマには「歯科医師の力を集結しよう! 子ども達のために!」が掲げられ、全国から104名を超える歯科医師らが参集した。

 日本子ども虐待防止研究会は、増加中の虐待への予防に関する諸問題を歯科領域から専門的に討議する場として、2015年に設立され、記念すべき第1回の本大会は、(公社)東京都歯科医師会の共催により開かれた。

 まず、基調講演「児童虐待の現状と児童相談所の役割」として櫻山豊夫氏(全国児童相談所長会会長、東京都児童相談センター所長)が登壇し、児童虐待の分類などの基礎知識から児童相談所の役割、本年の児童福祉法の改正内容などについて解説した。

 次に、松田博雄氏(社会福祉法人子どもの虐待防止センター所長)が、教育講演「医療現場で取り組む子供の虐待防止について」の題で講演。児童虐待は、その頻度の高さや評価を誤ると死につながる可能性がある点、発育発達に破壊的な影響を与える点、世代間伝播する点、対応に高い専門性が求められる点、予防が可能である点から、1つの疾患として捉えることができるとした。また、歯科診療所を含め地域による見守りや支援が必要で、そのための情報提供という意味でもっとためらわずに通告をしてほしいと訴えた。

 最後に、シンポジウム「虐待・ネグレクトを防止していくためには」が、都築民幸氏(日歯大)の座長のもと行われ、広島県、東京都、奈良県、三重県それぞれの地域における、小児歯科や歯科医師会などの取り組みが報告された。討論では、歯科での児童虐待のスクリーニングの指標の1つとされているう蝕本数の妥当性などについて、活発な議論がなされた。

 閉会の言葉として香西克之氏(広大大学院)は、「いずれ本会がなくなることが、子どもたちにとって良いこと」とし、それを目指して今後もさまざまな意見を交わしていきたいと結んだ。なお、次回はきたる2017年11月12日(日)、神奈川県歯科医師会館(神奈川県)において、鈴木駿介会長のもと開催予定。