さる3月4日（土）、秋葉原UDX GALLERY NEXT（東京都）において「The 2^nd Biannual International Removable Denture Meeting」が開催された（有床義歯学会主催、亀田行雄会長。以下、JPDA）。本ミーティングは、JPDAの前身であるJDA（Japan Dental Association）の会長であった阿部二郎氏（東京都開業、JPDA名誉会長）が提唱し、この10年あまりにわたって英語論文・著書および海外講演によって世界に普及させてきた「下顎総義歯吸着理論」を学ぶ世界各国の歯科医師、歯科技工士、およびデンチュリスト（注：海外の一部の国に存在する、患者に義歯を直接提供できる歯科技工士の資格）を対象としたもの。会場には2015年の第1回を大幅に上回る100名あまりの参加者が訪れており、その約7割が海外からであった。以下に、当日の演題と演者を示す。なお、すべての演題が通訳なしにすべて英語にて行われた（以下、演題中の「SEMCD」はSuction-Effective Mandibular Complete Denture〔下顎吸着総義歯〕の意）。

（1）「Various techniques to fabricate Suction-Effective Mandibular Complete Denture」（阿部氏）
（2）「CAD/CAM technology incorporating BPS suction dentures and a review of Digital Denture workflow VS Conventional denture workflow」 (Arnold Jabour CDT〔デンチュリスト、オーストラリア〕&Stephen McGlynn〔デンチュリスト、オーストラリア〕)
（3）「The Introduction Of SEMCD to the UK & Ireland」（Carl Fenwick CDT〔デンチュリスト、イギリス〕）
（4）「Occlusal Therapy for the Edentulous Patient」（Peter Anastasia CDT〔デンチュリスト、オーストラリア〕）
（5）「Occlusal scheme and balance for comfortable complete dentures」（齋藤善広氏、宮城県開業）
（6）「A clinical appliance of SEMCDs for the treatment of obstructive sleep apnea-hypopnea syndrome in fully edentulous patient」（遠藤義樹氏、岩手県開業）
（7）「Impression technique using tissue conditioner」（前畑　香氏、神奈川県開業）
（8）「SEMCD in the Korea : 4 year experience」（Dr. Noh Kwantae〔歯科医師、韓国・慶熙大学校〕）
（9）「Difference between Cosmetic denture and Aesthetic dentures」（John Wibberley〔デンチュリスト、イギリス〕）
（10）「Combining Implant dentistry and removable prosthodontics. Things to consider now that we know the SEMCD」（Dr. Kelvin Khng〔歯科医師、シンガポール勤務〕）
（11）「Future strategy to expand SEMCD technique around the world」（山崎史晃氏、富山県開業）

　全体を通じ、下顎吸着総義歯の基本にはじまり、JPDAが各国で行っているインストラクター認証制度の現状と展望、そして海外における実際の症例供覧などが行われ、「吸着（Suction）」が世界の義歯界に浸透してきていることを感じられる一日であった。なお、会場では昼食休憩を利用したJPDA会員による口演「Three Minutes Reports」も行われ、松丸悠一氏（歯科医師・北海道勤務、日大松戸歯学部有床義歯補綴学講座兼任講師）、湯田亜希子氏（歯科医師・北海道勤務）、そして永田一樹氏（歯科医師・山形県勤務）が相次いで登壇した。