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2017年5月14日

Straumann We Love Digital Tour 2017開催

410名あまりを集める盛会に

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 さる5月14日(日)、東京コンファレンスセンター・品川(東京都)において、講演会「Straumann We Love Digital Tour 2017」(ストローマン・ジャパン主催、嶋田 敦代表取締役社長、以下、ストローマン社)が開催された。本講演会は、ストローマン社がこのたび口腔内スキャナー「TRIOS 3」(3Shape)の販売を開始したことで、口腔内での光学印象採得からサージカルガイド・インプラント上部構造などの設計、そして千葉県成田市に設けたミリングセンターにおける実際の製作に至るまでのすべての工程を自社内で提供できるようになったことをアピールするために開催されたもの。会場には約410名の参加者が参集し、この分野に対する引き続き高い関心をうかがわせた。演者・演題および概要は以下のとおり。

(1)「Everybody goes digital!! What about you?」(相原英信氏、東京都開業)
 本演題で相原氏は、主にインプラント治療における即時荷重とサージカルガイドを用いた埋入手術の優位性について解説。ストローマン社が最近発売したBone Level Taperedインプラントが抜歯即時埋入および荷重に適している理由にはじまり、ストローマン社が提供するストローマンガイドシステムの適応症と製作法、およびインプラント埋入後のスキャンボディを連結した状態での口腔内印象採得からインプラント上部構造製作に至るまでの工程について解説した。また、カート一体型と、ノートPCに接続する「ポッドタイプ」の2種類で発売されたTRIOS 3の選び方についても言及。前者はタッチパネルによる使いやすさが、後者は将来的にノートPCをアップグレードしていくことで、スキャンおよびデータ処理の速度を高めていけることがそれぞれの利点であるとした。

(2)「TRIOS 3のデモンストレーション」(相原氏)
 本演題では、相原氏が模型および模擬患者の口腔内をTRIOS 3でスキャンするデモンストレーションが行われた。スキャン中、相原氏は「デンタルチェアのライトや、室内のダウンライトは消したほうが印象採得が行いやすい」「口腔内に装着されているセラミック修復物は反射が強いので注意が必要」「歯牙は乾燥させたほうがよい」など、使いこなしのためのコツについて紹介していた。

(3)「Budding digital implant dentistry」(千葉豊和氏、北海道開業)
 本演題で千葉氏は、光学印象採得、サージカルガイド、そしてインプラントの印象採得の3点について解説。冒頭では天然歯に対して模型を製作せずに印象採得から最終補綴物装着にまで至った症例を紹介した。これに対して千葉氏は、「やはり、ラボサイドでの確認のためには模型がまだまだ欲しいところ。海外製石膏ブロックによる模型製作も試みたが問題があり、今後の3Dプリンターの進化に強く期待したい」とした。また、サージカルガイド使用時に、試適してCTを撮影しスリーブと顎堤の位置関係を確認することの重要性や、CT撮影時にマッチングポイントを設定するための方法などについても解説した。

(4)「総括」(山崎長郎氏、東京都開業)
 本講演会の最後には、冒頭から座長を務めた山崎氏が登壇。まず、千葉氏の講演内容に触れ、「3Dプリンターはたしかに重要。さる3月に開催された国際デンタルショー(IDS)に参加したが、3Dプリンターに目新しいものはみられなかった」「よって、デジタルデンティストリーは今、踊り場にいる状態だ」と述べた。また、オールセラミック材料の変遷と、近年のジルコニアモノリシック修復の動向についても触れ、「積層型の、高透光性ジルコニアがメインになる時代が来る」として、ストローマン社のミリングセンターでも取り扱いが開始されたカタナジルコニアSTML(クラレノリタケデンタル,モリタ)を用いた症例を供覧した。また、CAD/CAMを使用する上で必須となる適切な支台歯形成については多くの時間を割き、マイクロスコープとピエゾチップを用いた支台歯形成の重要性を訴えた。そして、デジタルデンティストリーを注意深く見積もり、大胆に取り入れていく姿勢が求められる、とした。

 なお、本講演会は今回の東京会場を皮切りに、6月18日(日)に大阪府、そして同月24日(土)に北海道で引き続き開催されるとのこと。