2017年5月28日掲載

「子どもの食を育む歯科からのアプローチ」をテーマに

日本歯科医学会、公開フォーラムを開催

日本歯科医学会、公開フォーラムを開催
 さる5月28日(日)、歯科医師会館において、日本歯科医学会(住友雅人会長)による日本歯科医学会重点研究委員会公開フォーラムが「子どもの食を育む歯科からのアプローチ~4年間の重点研究から見えてきた課題と展望~」をテーマに開催され、264名の歯科医師、歯科衛生士らが参集した。

 まず木本茂成氏(日本歯科医学会常任理事、神歯大教授)より開会の辞、続いて住友雅人氏より主催者挨拶があった。その後、特別講演「こども食堂を含めた、だんだんの取り組みから見えてきた今を生きる子どもとその周りのこと」(近藤博子氏・こども食堂「気まぐれ八百屋だんだん」店主、歯科衛生士)、日本歯科医学会重点研究委員会委員らによる講演1「地域歯科医院での気づき―からだは食べ物でつくられ、こころは食卓で満たされる―」(辰野 隆氏、東京都開業)、講演2「口腔機能発達不全を呈する子どもたちとその対応について」(山崎要一氏、鹿児島大大学院医歯学総合研究科小児歯科学分野教授)、講演3「子どもの食と母子関係」(根ケ山光一氏、早稲田大人間科学学術院行動環境科学科発達行動学研究室教授)、講演4「子どもの摂食嚥下障害とは―症状とその対応―」(水上美樹氏、日歯大口腔リハビリテーション多摩クリニック歯科衛生士)がそれぞれ行われた。

 近藤氏は「こども食堂『気まぐれ八百屋だんだん』」を始めるきっかけとして、地域の様子や事情がわかるにつれ、高齢者の独り暮らしやお母さん方の育児相談が多いことに気づき、さらには給食以外の食事が摂れない子どもたちがいる現状を説明した。また、一人ひとりが複数の問題を抱え、今までの縦割り行政では支えきれない実態があり、もっと密な地域ネットワーク作りが重要とした。

 その後の各講演では、全国の学校で行われている食への取り組み、治療の必要性がある小児歯科の症例、発達行動学よりみた子どもの自立性と母と子の食の確執、子どもの摂食嚥下障害など、さまざまな子どもを取り巻く食と歯科の関係などが解説された。

 最後に木本氏は、日本歯科医学会では、これまで子どもの口腔への介入に関するガイドラインが存在しなかったが、発達過程に合わせたステージ別に構成された「発達期口腔機能マニュアル(案)」の作成中であり、日本歯科医学会のホームページにて広くパブリックコメントを募集中であると呼びかけた。

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