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2017年5月31日

第66回日本口腔衛生学会・総会開催

健康の地域格差解消に向け、文化や生活を考慮した施策を考える会に

 さる5月31日(水)から6月2日(金)の3日間、山形テルサ(山形県)において、第66回日本口腔衛生学会・総会(眞木吉信学会長、森田 学理事長)が「健康寿命と健康格差から考える口腔保健~田舎の予防歯科、都会の予防歯科~」をメインテーマに開催された。

 学会賞受賞講演、特別講演2題、国際招待講演2題、シンポジウム7題、ミニシンポジウム5題、一般講演(口演、ポスター)145題、ランチョンセミナー5題にくわえ、今回初となる日本歯科衛生教育学会との合同プログラムも企画され、会場には、約800名が参集し、終日にぎわいをみせた。

 2日目のシンポジウム3「田舎の予防歯科、都会の予防歯科~地域保険推進の現場から~」では、富田 滋氏(山形県歯科医師会)を座長に、田口円裕氏(厚生労働省医政局歯科保健課)、伊藤充也氏(大蔵村診療所歯科)、矢澤正人氏(新宿区健康部健康推進課)、阿部 智氏(千葉市議会)が登壇。

 厚生労働省より当日公表された最新の歯科疾患実態調査結果をもとに、小児における健康格差の是正、高齢者の口腔機能の維持など現在の歯科における問題が整理された。これらを改善するには、個々の患者への歯科保健施策のみでは事足りず、歯科大学病院や病院歯科、歯科診療所、行政、学会、他職種などと連携し、公衆衛生的予防施策の実施による環境づくりが必要であると示された。

 事例として、人口4千人に満たない山形県大蔵村での住民参加型歯科保健活動、東京都新宿区での歯科医師会や地域関係団体と連携して予防をシステムとして進めている取り組みが紹介された。行政や国、その地域だからこそ取り組める歯科保健活動のアイデアの数々に今後の発展が期待される内容となった。

 最終日の特別講演2「Focusing Upstream on the Social Determinants of Oral Health Inequalities」では、Ichiro Kawachi氏(Department of Social & Behavioral Sciences, Harvard School of Public Health)が登壇した。

 米国やヨーロッパ、日本における建造環境、食習慣を多くの写真を披露しながら比較し、健康問題は社会的な要因もあると言及。健康向上のためには患者個々への指導など下流でのアプローチだけではなく、交通政策、都市計画など上流でのアプローチが必要であると提言した。また、高齢者における社会参加が介護予防と関連するデータを示し、日本社会の特徴としてソーシャルキャピタルが強いことをあげ、長寿の要因の一つとして考えられると推察した。

 なお、次期学会は、千葉逸朗氏(北海道医療大歯学部教授)の学会長のもと、きたる2018年5月18日(金)から20日(日)、札幌市教育文化会館(北海道)において開催予定である。