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2017年6月4日

平成29年度WAVE学術講演会開催

歯科衛生士の視点、歯科技工士の視点について考える機会に

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 さる6月4日(日)、東京医科歯科大学歯科棟南特別講堂(東京都)において、平成29年度WAVE学術講演会(WAVE主催、稲沢公一会長)が開催された。WAVEは、早稲田セラミックトレーニングセンターナイトクラス8期卒業生らによって設立された歯科技工士のスタディグループである。今回は、歯科衛生士の視点も意識した企画で構成され、演者として小林明子氏(小林歯科医院・歯科衛生士、歯科技工士)と池田正臣氏(医歯大口腔保健学科口腔保健工学専攻講師)が招聘された。

 前半は、小林氏が「歯科技工士の目で見る補綴装置、歯科衛生士の目で見る歯周治療」と題して講演。両者の視点は大きく異なるとし、その違いについて触れながら、いずれにしても両者が目指すものは医療に変わりはないと強調した。また、補綴装置が生体と共存するための条件として、「歯肉形態」「生物学的幅径」「マージンライン」「歯冠豊隆」「歯肉からの立ち上がりの形態」「材料学的」「適合」の7点を挙げ、その一つひとつについて説明した。そして、「補綴物は劣化するもの。だからこそ、可能な限り劣化させないようなケア、メインテナンスが重要である」と述べ、そのポイントにも触れた。参加者のほとんどが歯科技工士であったが、氏のダブルライセンスならではの講演に気づきが多かったようだ。

 後半は、池田氏が「脱離! 破折! 歯科医院と歯科技工所のトラブルQ&A」と題して講演を行った。「CAD/CAM冠ってどうして破折、脱離するの?」「接着前のサンドブラスト処理は必須?」など現場でよく起こるトラブルを7例提示し、それぞれの原因について根拠となるデータを示しながら考察するとともに、そのうえでの対処法についてわかりやすく提示した。このほかにも、「保管温度によってプライマーの成分が分離するのか」「義歯洗浄剤によって金属は黒色変化するのか」など、細かなトピックについても時間の許す限り触れた。講演中、講演後をつうじて、参加者からの質問に氏が回答する場面もたびたびみられ、会場の雰囲気は終始熱気を帯びていた。