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2017年6月11日

日本接着歯学会・日本デジタル歯科学会共催シンポジウム開催

「デジタルデンティストリーと接着歯学の融合」をテーマに終始満員の盛況に

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 さる6月11日(日)、東京医科歯科大学歯学部特別講堂(東京都)において、日本接着歯学会・日本デジタル歯科学会共催シンポジウム「デジタルデンティストリーと接着歯学の融合 ―CAD/CAM冠とジルコニアクラウンの適用と接着―」(日本接着歯学会〔矢谷博文理事長、以下接着歯学会〕、日本デジタル歯科学会〔末瀬一彦理事長、以下デジタル歯科学会〕共催)が開催された。本シンポジウムは、例年行われている接着歯学会の総会に付随して行われる講演会に、デジタル歯科学会が協力することで実現したもの。演者・演題は、前半の2題がデジタル歯科学会、後半の2題が接着歯学会によって選定された。いずれも現在注目が集まるCAD/CAM冠やジルコニアクラウンの接着法に関する話題とあって、会場には主催者の予想を超える180名が参集。終始満員の盛況となっていた。以下に、演者・演題とその概要を示す。

1)「デジタル臨床をサポートする接着テクノロジー」(草間幸夫氏、東京都開業)
 かねてより、CERECシステム(シロナデンタルシステムズ)を活用したオールセラミック修復で著名な草間氏。最近では臨床応用するクラウンの7割がフルジルコニアとのことで、そのための接着について多くの時間を割いて解説。接着に関わる要素を「接着要因」「阻害要因」「劣化要因」そして「技術的要因」の4点に分類し、それぞれについて詳説した。その後、保険適用のCAD/CAM冠の接着についても言及した上で、現在の補綴・修復治療には接着技法が不可欠であり、十分な技術と習熟が不可欠であるとした。

2)「CAD/CAMレジン冠・ジルコニアクラウンの特性と接着」(高橋英和氏、医歯大大学院医歯学総合研究科口腔機材開発工学分野)
 ISO規格(ISO/TC 106 Dentistry/ SC 9 Dental CAD/CAM Systems)の策定に携わる立場の高橋氏は、接着のテクニックはもちろんのこと、主に切削加工用のジルコニアおよびコンポジットレジン材料の組成や、それがもたらす物性への影響について詳説。最近話題の高透光性ジルコニアの透光性と強度が相反する理由や、多種上市されている保険適用のCAD/CAM冠用材料の組成や物性の多くが公表されていないことの問題点などについて示した。

3)「CAD/CAM冠およびジルコニアへの接着技法 ~基礎・臨床研究からの知見~」(峯 篤史氏、阪大大学院歯学研究科クラウンブリッジ補綴学分野)
 接着歯学会をはじめ、日本補綴歯科学会や日本歯科理工学会でも数々の要職を歴任する気鋭研究者の峯氏。講演ではまず、氏らがこれまでにCAD/CAM冠の接着について研究してきた内容について紹介。接着前の超音波洗浄の有無は接着力に差をもたらすが有意差は認められないこと、また試適後の唾液の残留が接着力に悪影響をもたらすことを明らかにし、その除去のためにはサンドブラストがもっとも効果的であったことなどについて述べた。また、機能性モノマーの有効性や、確実な接着を得るために必要な術野の乾燥法などについても示した。

4)「CAD/CAM冠およびジルコニアへの接着技法 ~臨床例と注意点~」(坪田有史氏、東京都開業)
 ファイバーポストレジンコアに関する執筆・講演で著名な坪田氏であるが、本講演では接着に関する広い知識と臨床経験について披露。CAD/CAM冠を成功に導くためには、「マテリアルの選択」「支台歯形成」「適合良好なCAD/CAM冠の製作」「同、試適・調整」そして「内面と被着面の前処理」の5点が重要であるとし、それらについて症例をもとに解説した。また、フルジルコニアクラウンや接着ブリッジの臨床応用についても示し、それぞれの接着法についても示した。