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2017年6月14日

一般社団法人日本老年歯科医学会 第28回学術大会開催

「治し支える歯科医療」をテーマに、約2,000名が参集

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 さる6月14日(水)から16日(金)の3日間、名古屋国際会議場(愛知県)において、一般社団法人日本老年歯科医学会 第28回学術大会(櫻井 薫大会長・理事長)が「治し支える歯科医療」をテーマに開催され、約2,000名が参集した。

 本学術大会は、2年ごとに開催される日本老年学会の第30回として、日本老年医学会、日本老年歯科医学会、日本老年社会科学会、日本基礎老化学会、日本老年精神医学会、日本ケアマネジメント学会、日本老年看護学会の7学会合同で開催された。3日間を通じて多数の合同シンポジウムが開かれ、領域を超えた活発な意見交換がなされた。

 日本老年歯科医学会のプログラムとしては、まず1日目に現在さまざまな試みが行われている介護予防プログラムをより効果的に行うための方向性を探る合同シンポジウム「一億総活躍社会における後期高齢者の介護予防は『複合プログラム』で!」が阪口英夫氏(陵北病院歯科診療部)の座長のもと行われ、柴田 博氏(桜美林大大学院名誉教授・特任教授)、森本茂人氏(金沢医科大教授)、高野直久氏(日本歯科医師会)が登壇し、それぞれの見地から意見を述べた。

 続いて、2日目には、那須郁夫氏(日大松戸歯学部教授)、松尾浩一郎氏(藤田保健衛生大教授)の座長による合同シンポジウム「オーラルヘルスとゼネラルヘルス―予防からリハビリテーションまで―」が行われ、才藤栄一氏(藤田保健衛生大教授)、小原由紀氏(医歯大講師)、松尾氏が登壇した。「口から食べる」ということを焦点に、才藤氏は口腔・咽頭の構造および機能の解説や高齢者の口腔・咽頭の問題、そして摂食嚥下障害のリハビリテーションについて、小原氏はヘルスプロモーションの立場から口腔機能が低下する前段階からの予防的介入および継続的な関わりの重要性について、そして松尾氏は口腔ケアを中心に食べる機能の維持向上における多職種連携について藤田保健衛生大学病院における取り組みを交えて解説した。

 その他にも、特別講演「Personalizaed Aging:using genomics and technology to optimize healthy aging ? implications for oral health」とシンポジウム1「化粧・整容療法-認知症・老化による機能的・外見的変化への対応-」が国際セッションとして、また、入門セミナー「フレイルとサルコペニアを理解する」「歯科医師が知っておきたい栄養評価とその対応」「高齢者の診療に必要な全身状態評価とその対応」、学術用語委員会シンポジウム「歯科用語を考える―「口腔ケア」って何ですか? 研究者、医療者、行政、市民の立場から」なども行われた。

 3日目も、2017年度の支部長会を兼ねた支部組織・地域保健医療福祉検討委員会シンポジウム「地域歯科医療から学会の役割を再考する」、シンポジウム2「老年歯科医学の卒前・卒後の一貫教育」、教育講演「口腔乾燥症の基本的な診査・診断と治療」、シンポジウム3「歯科と栄養が出会う時」、歯科衛生士シンポジウム「地域包括ケアシステムと歯科衛生士の関わりを考える!」など、多数の講演・シンポジウムが行われた。また、学術委員会シンポジウム「『口腔機能低下症』について理解を深めよう」(座長:水口俊介氏・医歯大教授、松尾浩一郎氏)では、昨年の学術大会で報告され、また同年にポジションペーパーも作成された「口腔機能低下症」の診断に必要と定められた7つの症状(口腔不潔、口腔乾燥、咬合力低下、舌口唇運動機能低下、低舌圧、咀嚼機能低下、嚥下機能低下)に関して、上田貴之氏(東歯大准教授)、山本健氏(鶴見大講師)、池邉一典氏(阪大准教授)、古屋純一氏(医歯大教授)、津賀一弘氏(広大教授)、永尾寛氏(徳島大教授)、田村文誉氏(日歯大口腔リハビリテーション多摩クリニック)が登壇し、それぞれの症状に対する検査方法および代替検査方法、診断基準について改めて解説した。ディスカッションでは、会場から数多くの意見が寄せられ、白熱した議論が交わされた。