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2017年6月29日

第92回日本医療機器学会大会開催

歯科医師が器具・器材の洗浄・滅菌、院内感染予防策をテーマに特別講座で講演

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 さる6月29日(木)から7月1日(土)の3日間にわたり、パシフィコ横浜(神奈川県)において第92回日本医療機器学会大会(加納 隆大会長、矢冨 裕理事長)が「新たな医療技術との出会いを求めて」をテーマに開催された。

 本学会は病院などの医療機関において、病棟、医療機器を取り扱う材料部、滅菌部門などに勤務する医師、看護師、臨床工学技士、滅菌技士・師らの医科医療関係者および医療機器を製造・販売する関連企業を主な会員とする学会であり、大会開催期間中、2,000名以上が参加した。

 今回の大会では、医療機器の安全性、医療機器管理、洗浄・消毒・滅菌などについて、特別講演、教育講演、シンポジウムのほか、100題を超える一般演題などが開かれた。大会参加者の多くが医科医療関係者を占めるなか、2日目には歯科医師による滅菌技士・師対象の特別講座が開かれ、田口正博氏(東京都開業)が「歯科医療機器の洗浄と滅菌について」、又賀 泉氏(日歯大名誉教授)が「歯科器材の再生処理の現状について」と題する講演を行った。

 田口氏は講演のなかで、「歯科医療の安全を確保して感染を防止するためには、歯科医療従事者が全患者にスタンダードプレコーションを実施することであり、また歯科医師による院内感染対策を奨励し、援助するために国が適切な処置を講じることが望まれる」と述べたうえで、歯科治療が原因で発生したと考えられるHCV、HIV感染の海外での事例を示し、また診療室の完全個室化、タービン・ハンドピースの洗浄・滅菌・保管法、ユニットに汚染された水や空気が通らないろ過システムなど自らの40年以上にわたる臨床経験から導き出した歯科診療所での院内感染予防対策について具体例をあげて解説、さらに歯科治療における血液検査の必要性にも言及した。

 また、又賀氏は口腔内常在菌の種類とその感染症の発生から口腔外科での外科用器材の再生処理、安全性確立のための洗浄・滅菌の実務の現状について解説した。両氏の講演は「患者が感染症に罹患しているかは問診だけではわからない、そして患者も必ずしも(感染していると)本当のことを言わない」とのメッセージを含む印象深いものであった。