Quint Dental Gate 歯科のコミュニケーションサイト

文字サイズ
標準
特大

トピックス


2017年9月10日

深井保健科学研究所、第16回コロキウムを開催

「老化と栄養」をテーマに

ログインされますと、関連書籍が表示されます。
会員でない方はこちら
(※関連書籍がないトピックスは表示されません)

 さる9月10日(日)、東京国際フォーラム(東京都)において、深井保健科学研究所第16回コロキウム(深井穫博所長)が「老化と栄養」をテーマに開催され、歯科医師、歯科衛生士ら約80名が参集し盛会となった。

 まず、開会の辞に立った深井氏(埼玉県開業)から、本会関係者であり元日本歯科医師会常務理事の佐藤 徹氏(新潟県開業)が8月30日に急逝したことが報告され、黙とうが捧げられた。

 その後、「口腔保健の最新トピックス」として、多岐にわたる発表が行われた。なかでも、大島克郎氏(日歯大東京短期大学)による「"歯科技工士不足"到来の現実性と対応策」と題した講演では、氏らが行ったWeb調査が紹介され、調査に参加した高校生の約半数は歯科衛生士の存在を認知しているものの、歯科技工士の認知度は1割程度という現状が報告された。また、神原正樹氏(神原グローバルヘルス研究所)は「口腔疾患・健康状態の新たな評価方法」と題し登壇。氏が特許を取得または申請中のさまざまな評価ツールを紹介し、口腔内では病変や疾患に目がいきがちだが、今後は"健康な状態"を客観的に評価し、予防することが重要であると説いた。

 午後からは、今回のテーマである「老化と栄養」と題されたシンポジウムが、「疫学」と「実践」の2パートに分けて行われた。まず、深井氏が趣旨説明に登壇し、NCDs(非感染性疾患)予防とフレイル予防は健康施策の柱となっているとともに、長寿社会のなかで個体の老化を踏まえた健康増進は大きな研究課題であるとしたうえで、肥満や低栄養といった問題に直結する栄養と老化について議論を深めたいと述べた。

 つづいて、安藤雄一氏(国立保健医療科学院)、相田 潤氏(東北大)、岩崎正則氏(九歯大)、武内博朗氏(神奈川県開業)、福武元良氏(阪大)、枝広あや子氏(東京都健康長寿医療センター研究所)、小川祐司氏(新潟大、WHO協力センター)がそれぞれ講演。いずれも疫学データに基づいた報告が中心で、歯が多いと健康寿命が長く要介護期間が短いことや、咬合力と栄養摂取の関係、さらには認知症高齢者の食事支援など、さまざまな切り口から発表がなされ、会場の参加者も交え活発な議論が交わされた。

 最後に、閉会挨拶にて深井氏が再び登壇し、本シンポジウムのテーマより、とくに歯科と栄養関係者の多職種連携が必要不可欠であり、現在の日本における超高齢社会に対し、今後どのように貢献できるか、さらに議論を深めていきたいと述べた。