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2017年10月20日

第62回(公社)日本口腔外科学会総会・学術大会が盛大に開催

「現状を見つめ、次世代そして未来を考える」をテーマに

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 さる10月20日(金)から22日(日)の3日間、国立京都国際会館(京都府)において、第62回公益社団法人日本口腔外科学会総会・学術大会(佐々木 朗大会長、古郷幹彦理事長)が「現状を見つめ、次世代そして未来を考える」をテーマに、盛大に開催された。3日間にわたり、国際シンポジウム3題、シンポジウム7題、指名Workshop2題、公募Workshop6題、ミニレクチャー46題、ビデオレクチャー15題、海外招聘講演3題、特別講演3題、教育講演1題、教育セミナー4題、IAOMS(国際口腔顎顔面外科学会)現理事長・次期理事長講演、一般口演、ポスター発表など、盛りだくさんのプログラムが展開された。

 「シンポジウム 最先端technologyの口腔外科への応用」では、まず「最先端医療テクノロジーの潮流」として 高野正行氏(東歯大水道橋病院教授)が口腔顎顔面領域における今日までの発展を概説。続いて各論として「コンピュータビジョンと拡張現実を用いたコンピュータ支援手術」(末永英之氏、東大講師)、「口腔顎顔面領域におけるcomputer assisted simulation and surgery ―現状と将来展望―」(岩井俊憲氏、横浜市立大助教) 、「スマートグラスを用いた複合現実感の手術ナビゲーションへの応用」(板宮朋基氏、愛知工科大准教授)、「リアルハプティクス技術の精密ロボット手術システムへの応用」(河奈裕正氏、慶應大准教授)の各演題で講演。患者にCGを重ねた複合現実感(MR)技術によるナビゲーション手術や、力触覚情報のデジタル化による遠隔手術システムの試みなど、最先端の医療技術研究が紹介され、従来の常識を覆す新時代の手術として期待が述べられた。

 昨年に引き続き開催された「シンポジウム 女性口腔外科医のためにPart2」では、まず吉岡德枝氏(岡山大助教)が、学会が行った「女性口腔外科医のキャリアに対する自覚と意思に関するアンケート調査」から、働き続けるための環境整備や学会支援の必要性等、その結果を報告。続いて、「女性口腔外科医 -日本と海外事情」(柳井智恵氏、日歯大生命歯学部教授)、「女性が口腔外科医として働いていくことの難しさはどこにあるのか」(佐藤(栗林)和代氏、北大助教)、「女性口腔外科医のワークライフバランス -私のライフイベントとキャリア-」(秋田貴子氏、常滑市民病院)、「女性口腔外科医から日本口腔外科学会への要望」(矢郷 香氏、国際医療福祉大三田病院准教授)の各演題で講演が行われ、演者の経験談を交えながら、今後増加が見込まれる女性口腔外科医が仕事を続けていくうえでの課題や学会への要望等を語るとともに、女性自身が目標と意識をもって行動することの重要性を強調していた。

 昨年改訂版ポジションペーパーが出され、現場の関心も高い薬剤関連顎骨壊死について、医科と歯科双方からの対策を模索することを目的に開催された「シンポジウム MRONJ/BRONJ対策を再考する -Beyond drug holiday」では、ポジションペーパー作成メンバーから、米田俊之氏(インディアナ大教授)と高橋俊二氏(がん研究会有明病院総合腫瘍科部長)が登壇。米田氏は「顎骨壊死ポジションペーパー2017への期待」と題して、現状の文献や経験をまとめた提案であることを説明するとともに、医科の治療を継続したうえで顎骨壊死が生じない、あるいは生じた場合における治療法の確立への期待を述べた。高橋氏は「悪性腫瘍患者における骨吸収阻害薬治療の意義とONJの現状」と題して、乳がん等患者への骨転移に対する治療はQOL維持において重要であり、BPおよびデノスマブ投与の意義を詳述した。歯科からは「医科歯科連携によるARONJのマネジメント」と題して、岸本裕充氏(兵庫医科大教授)が講演。予防のために薬剤投与前の歯科受診のルーチン化が重要と強調し、医科への積極的なはたらきかけの必要性を訴えた。質疑応答では、参加者から現場での状況などを踏まえた意見が寄せられ、本テーマへの関心の高さが示唆された。

 4,500名を超える参加者と過去最高を更新し、勢いを感じさせる熱気にあふれた3日間であった。次回大会は、きたる2018年11月2日(金)から4日(日)に幕張メッセ(千葉県)において開催予定である。