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2017年11月12日

東京歯科大学同窓会、2017 TDCアカデミア 医療教養 One Dayを開催

同窓会会員以外も多数参集し、盛況となる

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 さる11月12日(日)、東京歯科大学水道橋校舎新館(東京都)において、2017 TDCアカデミア 医療教養 One Day(東京歯科大学同窓会主催)が開催された。本講演会には東京歯科大学同窓会会員以外も出席可能であり、他大学出身者も多く出席した。

 午前の部は澁川義幸氏(東歯大)による「味覚とおいしさの科学」と題した講演では、なぜ味覚は人間に備わっているのかということから始まり、現在の若年層では味覚が鈍化していることを示すデータを提示するなど、味覚に関する知見をおおいに高めることのできる講演となった。高添一郎氏(東歯大)による「求められる歯科医師像」と題した講演では、自身の経験も踏まえて、「歯科医師は口腔保健の専門家として生涯学び続けて、今以上に信頼される存在とならなければならない」と語った。

 午後の部は、平井基之氏(東京都開業)、阪口英夫氏(陵北病院)、遠藤眞美氏(日大松戸歯学部)の3名が「人生の最期を人はどう迎えるか~終末期における歯科医療の役割と可能性~」のテーマについてそれぞれ講演が行われた。平井氏からは終末期の患者に歯科がどのように関われるのかについて、同氏の経験やデータに基づいて講演が行われ、また、記録することの重要さについても語った。阪口氏は死生学という学問が、なぜ歯学部教授によって基礎が造られたのか、そして口腔ケアがどのように発祥したのかという同氏の研究について触れ、臨床例も供覧した。遠藤氏は生活支援が得意な歯科医療者であるからこそできる、終末期の患者や死を意識している患者との関わり方について語った。また、若年層では死との関わりが少なくなっているが、歯科医療職を志す学生は死について学ばければならないと教育内容についても言及した。

 午後の3講演で共通していたことは、口腔には呼吸や発音といった栄養摂取以外の重要な役割がある。ドライマウスなどは患者にとって非常に苦しい状況である。経口による栄養摂取ができなくなっても、人間の尊厳を守る意味からも口腔ケアは最後まで継続する必要があるということである。会場には、歯科医師、歯科衛生士が多く出席し、定員を超過するほどの盛況であり、超高齢社会であるわが国の歯科医療職の終末期への関心の高さを示した。