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2017年11月16日

平成29年 東京矯正歯科学会秋季セミナー開催

「開咬に対するアプローチ」をテーマに

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 さる11月16日(木)、有楽町朝日ホール(東京都)において「平成29年 東京矯正歯科学会秋季セミナー」(中村芳樹学会長)が「開咬に対するアプローチ」をテーマに開催され、歯科医師、歯科衛生士約700名が参集した。

 槇 宏太郎学術委員長(昭和大教授)がモデレーターを務めた本会では、矯正歯科の立場から足立 敏氏(大阪府開業)、宮澤 健氏(愛院大教授)が、口腔外科の立場から大村 進氏(横浜市立大学附属市民総合医療センター)、亀井和利氏(横浜労災病院)が登壇した。

 最初に「開咬症例における垂直的問題点の診断」と題して登壇した足立氏は、矯正器具による歯の移動の前に、まずスプリントを用いて顎位の安定を図り、「真の開咬」の状態に落ち着かせるべきとし、顎の機能と理想的な顎位の実現を前提とした矯正歯科治療における診査と治療の実際について解説した。

 また宮澤氏は「開咬症例に対する治療メカニックス」との題で、顎関節症治療としてのアプローチと、矯正歯科治療でのアプローチに分けて開咬症例を供覧した。

 次に大村氏は「MAC surgeryによる開咬へのアプローチ」と題し、患者の生体反応である下顎の反時計方向への回転(autorotation)を利用し、主に上顎のみへの外科手術を行うMAC(mandibular autorotation concept)surgeryを用いた開咬症例へのアプローチについて講演した。

 続いて「形態、機能、審美、生理を考慮した開咬治療」と題して登壇した亀井氏は、外科的矯正治療の前に上顎の位置を決めてから下顎の回転の程度を決める、また咀嚼筋に無理のない治療計画立案やOSASの予防など、開咬の治療にあたっては術後の軟組織の状態に関しても配慮すべきとした。

 矯正歯科医と口腔外科医という立場とアプローチ法は違えど、いずれの演者も、開咬症例では下顎頭にはいくばくかの荷重がかかっており、顎関節症が初発となっている症例も少なからず見られるため、矯正歯科治療の前に下顎頭にかかる負担を取り除き、いったんは開咬が強くなったとしてもまず顎関節の安定を先に図るべき、との治療コンセプトを同じくした講演となった。