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2018年2月23日

資生堂ジャパン、ADL向上のための整容講座を開催

健康長寿に貢献する「化粧療法」を多職種に広めるために

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 さる2月23日(金)、24日(土)の2日間、資生堂福岡ビル(福岡県)において、ADL向上のための整容講座(資生堂ジャパン株式会社主催)が開催された。本講座は、高齢者のADL(日常生活動作)の維持・向上、また健康長寿に貢献すべく資生堂の「化粧療法」に基づき、高齢者が化粧による「整容」ができるための知識・技術を学ぶセミナーである。

 この場合の化粧とは整容に分類されるもので、口腔ケア、手洗い、爪の手入れ、洗顔、整髪、髭剃り、そして化粧を指す。現在までにこれら化粧(整容)により、(1)脳機能の上昇(脳の活動が高まる、ストレスホルモン〔唾液中コルチゾール〕が減少する)、(2)脳機能の向上(脳波のパターンが正常域に近づく、要介護女性の認知機能低下の抑制)、(3)化粧による身体機能の向上(握力が上昇し、自立度が上がる)、(4)口腔機能の向上(唾液分泌量が増加)などのエビデンスが得られている。また男女ともに高齢者が化粧をすることにより、社会とのつながりができ、健康長寿につながっていると報告されている。

 化粧療法の主役はあくまで高齢者であり、高齢者の残存機能を活かし、いかに社会の中で自立した高齢者増やしていけるかが重要であるとしている。そのため、化粧療法の動作一つ一つには意味があり、たとえばローションミルクを顔につけるスキンケアでは、耳下の唾液腺を刺激し、唾液分泌量を増加させる。また、容器のふたを開ける、ファンデーションを塗る、眉を描くなどの動作も筋力アップにつながり、自立度が上がることも証明されている。

 本講座では、化粧のちからを知り、加齢による顔立ちの変化や、実際の化粧療法の手順などを学び、最終的に多人数の前で化粧リクリエーションを実施する方法を習得する。参加者は専用リハビリトレーニング用化粧品を使用し、実際にみずからの顔で化粧療法を学んだうえでプレゼンテーションを行い、化粧リクリエーションを開催できる展開要領や技術を習得していた。

 化粧リクリエーションは、歯科医院の待合室で開催しリコール率上昇に貢献しているとう例もある。また、高齢者施設などで開催すると、要介護度が下がる事例も報告されている。いずれの場合も定期的に実施することが重要である。

 なお「新聞クイント」では現在、「化粧療法」について池山和幸氏(資生堂ジャパン株式会社)による連載を掲載中であり、ご参照いただきたい。