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2018年3月21日

日本歯科審美学会、セミナー「接着を活かして審美を極める ~ダイレクトボンディングとジルコニア補綴~」を開催

5回シリーズの第1回目として、約100名を集める

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 さる3月21日(水)、昭和大学旗の台校舎16号館講義室(東京都)において、セミナー「接着を活かして審美を極める ~ダイレクトボンディングとジルコニア補綴~」が開催された(日本歯科審美学会主催、奈良陽一郎理事長)。本セミナーは、日本歯科審美学会が本年度から来年度にかけて「審美を極める5回シリーズ」と題して企画・開催するセミナーの第1回。今回は標題のとおり、接着技術を基盤としたダイレクトボンディングと、ジルコニア補綴・修復をテーマに5名の演者が登壇、全国から約100名が参集した。以下に、演者および演題を示す。

1)「コンポジットレジン修復の発想転換」(田代浩史氏、静岡県開業)
 本演題では、標題の「発想転換」をテーマに、コンポジットレジン(以下、CR)直接修復の適応症を術者のテクニックおよび症例選択で拡大した症例を多数提示。マトリックスの選択やボンディング材の確実な使用法といった基礎を踏まえた上で、上顎前歯部のダイレクトクラウンやブリッジ、また正中離開への対応や臼歯部インレーなど、発想転換によってCRの利点を最大限に生かすことの重要性について示した。

2)ダイレクトボンディング成功のための重要ポイント(保坂啓一氏、医歯大大学院う蝕制御学分野)
 本演題では、最新の接着材料や臨床器材、そしてCRにまつわるさまざまなエビデンスをまず提示。CR直接修復の利点や高い予知性、またCR直接修復と間接修復の予後に有意差はないこと、また接着阻害因子を除去することの重要性などについて示した上で、自験例を3例提示した。

3)「接着歯学を活かした精密な審美修復治療」(天川由美子氏、東京都開業)
 本演題では、まず拡大視野下での臨床操作の重要性について提示。また、CR直接修復と間接修復との比較、材料別の内面処理法などについて示した上で、CR直接修復と間接修復双方の臨床ステップを動画を用いていねいに解説し、症例供覧も行った。そして締めくくりとして、「CR直接修復は術者のスキルに左右されるため、絶対ということはない。スキルを向上させていくことが、結果として予後の向上につながる」と述べた。

4)「前歯部欠損に対する接着ブリッジの可能性」(大谷一紀氏、東京都開業)
 本演題では、大谷氏が2013年頃から取り組んできたジルコニア接着ブリッジに関する理論と臨床について提示。少数歯欠損において「歯も骨も失いたくない」患者に対するソリューションとしてのジルコニア接着ブリッジについて、その成功率や適応症、2リテーナーよりも1リテーナーのほうが予後が良好な理由、リテーナーの形態・面積設定の方法などについて、多数の症例とともに示した。

5)「接着歯学研究 ~支台歯-接着材-生体材料の界面を制するために~」(峯 篤史氏、阪大大学院歯学研究科クラウンブリッジ補綴学分野)
 本演題では、接着歯学分野の気鋭として、近年講演・執筆多数の峯氏が登壇。ボンディング材の変遷や各種セメントの接着強さ、臨床でのパフォーマンスなどについて示した上で、近年普及が進むシンプルユーズ化された接着材の性能について言及。これに関しては臨床上の性能は十分であり、むしろ接着阻害因子の除去が重要であるとした。また、本セミナーのテーマであるジルコニアの接着についても詳説。各ステップについて根拠に基づいて分かりやすく述べた。

 なお、会場では歯科衛生士向けのセミナー「ホワイトニングと口腔内規格写真を極める」も併せて行われ、こちらも盛況となっていた。