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2018年4月14日

第9回日本デジタル歯科学会学術大会開催

「Cutting Edge Digital Dentistry ―ヴァーチャルからリアルへ―」をテーマに

 さる4月14日(土)、15日(日)の両日、アイーナいわて県民情報交流センター(岩手県)において、第9回日本デジタル歯科学会学術大会(近藤尚知大会長、末瀬一彦理事長)が開催された。両日ともにあいにくの天候となった盛岡市内であったが、全国から400名以上が参加する盛会となっていた。

 初日の会場ではまず、恒例となっている大会長講演に近藤尚知氏(岩手医科大学歯学部補綴・インプラント学講座)が登壇。「Cutting Edge Digital Dentistry -ヴァーチャルからリアルへ-」と題し、2000年代以降のデジタルデンティストリーの急速な進化について概観。とくに口腔内スキャナーの導入がデジタルデンティストリーの普及において不可避であるとし、その精度に関する実験結果を報告。現状、2、3歯のスパンであれば十分な精度があるが、それより長いスパンでは注意が必要であるとした。また、大会長講演に続く2日間の講演内容についても丁寧に示すことで聴講者の理解を助けていた。

 またシンポジウム1(日本口腔インプラント学会、日本補綴歯科学会共催)では、「光学印象のデジタルワークフロー」のテーマのもと、北道敏行氏(兵庫県開業)、北原信也氏(東京都開業)、植松厚夫氏(東京都開業)、そして夏堀礼二氏(青森県開業)の4氏が登壇。それぞれ、口腔内スキャナーに「虚像」を拾わせないためのテクニック(北道氏)、3Dプリンター模型の活用(北原氏)、口腔内スキャナーを活用した咬合採得(植松氏)、そしてインプラント補綴における口腔内スキャナーの活用(夏堀氏)などについて示し、普及が進みつつある口腔内スキャナーを現状でいかに用いるか、その使いこなしについてさまざまな視点から示した。

 なお初日の会場では、一般口演11題、各器材メーカー共催による企画講演7題、そしてポスター発表33題も併せて行われ、それぞれ盛況となっていた。

 続く2日目には、シンポジウム3題、教育講演1題、特別セミナー1題、特別講演2題、そしてランチョンセミナー3題があいついで行われた。シンポジウム2(日本歯科放射線学会共催)では、「歯科治療における新たなデジタルワークフロー」のテーマのもと、山田浩之氏(岩手医科大歯学部口腔顎顔面再建学講座口腔外科学分野)、月岡庸之氏(東京都開業)、そして槇 宏太郎氏(昭和大歯学部歯科矯正学講座)の3氏が登壇。それぞれ、腫瘍切除後の顎骨再建におけるCAD/CAMの応用(山田氏)、口腔内スキャンデータと歯科用コーンビームCT(以下、CBCT)データの融合と活用(月岡氏)、そして同じく口腔内スキャンデータとCBCTデータの矯正治療への応用(槇氏)などについて示し、全体としてCBCTと口腔内スキャナーの併用で広がるデジタルデンティストリーの可能性について示した。
そしてシンポジウム3(日本歯科技工学会共催)では、「デジタル技工の最前線」のテーマのもと、山下恒彦氏(歯科技工士・デンテックインターナショナル)と伴 清治氏(愛院大歯学部歯科理工学講座)が登壇。それぞれ、ジルコニアブロックに対するシンタリング前のステイニングが強度に与える影響や、インプラント上部構造への応用を念頭に根尖側から切縁側にかけて強度と色調を変化させたレイヤードジルコニアディスクの開発(山下氏)、各種透光性ジルコニア材料の特性や蛍光性の付与によるメリット・デメリット、そして透光性改良材の開発(伴氏)などについて示し、CAD/CAMの普及を追い風にますます進化を続けるジルコニア材料に関する今後の展望を示した。

 また、特別セミナーには林 俊輔氏(北海道開業)が登壇。「AR、AI技術を用いた新しい診療補助装置"スカウター"の開発とNet Work Systemの統合について」と題し、超音波スケーラーのハンドピース上に超小型カメラ(φ2.9mm)を装着し、その動画をヘッドマウントディスプレイや通常の液晶モニターで観察する「Zoom Up Scouter」、および歯科診療にAR(Augmented Reality、拡張現実)を導入するための「CT Scouter」の開発について述べた。後者ではCT画像と実際の顔貌を同時に見るだけでなく、患者の動きに合わせてCT画像が追従するモーショントラッキング技術の実装を目指しているとのことであった。また、両者ともに単に何かが見えるということではなく、取得した画像情報の蓄積とビッグデータ化、ひいてはAIとの融合が目標であるとした。

 そして特別講演には、三浦宏之氏(医歯大大学院医歯学総合研究科摂食機能保存学分野)が登壇。「現在のCAD/CAM臨床と今後の展望」と題し、日本国内で初めて認可された歯科用CAD/CAM「cercon」(Dentsply、当時)を導入した経験から最新のCAD/CAM装置に至るまでの道のりや、「cercon」を臨床応用した10年経過症例、15年経過症例などについて示し、今後求められる要素としてよりいっそうのオープン化と、OCT(Optical Coherence Tomography、光干渉断層計)などを応用した歯肉縁下の計測が可能な口腔内スキャナーの開発、そして顎運動計測装置とバーチャル咬合器のさらなる発展、などを挙げた。

 なお、来年度は主管校を大阪歯科大学とし、末瀬一彦大会長のもと、きたる2019年10月4日(金)から6日(日)にかけ、奈良春日野国際フォーラム 甍~I・RA・KA~(奈良県)にて開催されるとのこと。