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2018年4月21日

第15回日本顕微鏡歯科学会学術大会・総会開催

「Seeing is believing ―百聞不如一見―」をテーマに800名以上が集う

 さる4月21日(土)、22日(日)の両日、大阪大学コンベンションセンター(大阪府)において、第15回日本顕微鏡歯科学会学術大会・総会(木ノ本喜史大会長、辻本恭久会長)が盛大に開催され、800名以上が参集する盛会となった。

 顕微鏡歯科治療は、歯内療法や歯周治療からはじまり、現在は健康保険の中にも「顕微鏡」という言葉が使われるようになるなど、歯科用顕微鏡(以下、マイクロスコープ)への注目度は年を追うごとに増してきている。
 本大会は、主に特別講演1本と3つのシンポジウムから成り、まず下野正基氏(東歯大名誉教授)による特別講演にて、顕微鏡歯科治療にも共通する治癒の病理が語られたあと、各シンポジウムで臨床家や歯科衛生士がそれぞれの領域でのマイクロスコープの活用を述べた。

 下野正基氏の特別講演は「治癒の病理~臨床の疑問に答える~」で、エンド・ペリオ・インプラント治療における治癒のメカニズムについて、病理学の立場から基礎研究を用いた解説がなされた。

 続くシンポジウム1では、「修復」や「覆髄」などのテーマごとにマイクロスコープの活用例が発表された。シンポジウム1の演者と演題、テーマは以下の通り。

「マイクロスコープを用いたコンポジットレジン修復(テーマ:修復)」(菅原佳広氏、日歯大新潟病院准教授)
「助かる歯髄、助からない歯髄、強拡大視野下で診断する(テーマ:覆髄)」(泉 英之氏、滋賀県開業)
「マイクロエンドを好きになろう(テーマ:歯内療法・非外科処置)」(松永健嗣氏、石川県開業)
「前歯部から始めるApical Microsurgery(テーマ:歯内療法・外科処置)」(田中利典氏、東京都勤務)
「精密補綴治療(テーマ:補綴)」(小林 実氏、大阪府開業)

 なかでも泉氏は、露髄した歯髄が保存できるかどうかの見極めについて、マイクロスコープでの治療だからこそ得られた自身の臨床所感を述べた。「露髄した歯髄にエアーをかけた際に歯髄組織が連続性を失えば(原形をとどめなければ)歯髄壊死の可能性が高い」「エアーをかけた際に歯髄そのものから微量の出血(血流)が確認されれば保存できる可能性が高い」など、あくまで症例報告に基づくものでエビデンスレベルとしては低いと補足しながらも、歯髄保存の成功率を上げるヒントを提供した。
 
 大会2日目のシンポジウム2は、「歯周治療」や「外科」などの分野でのマイクロスコープの活用例が述べられた。シンポジウム2の演者と演題、テーマは以下の通り。

「非外科的歯周治療にマイクロスコープは必要とされているか? 2018年現在(テーマ:歯周治療・非外科処置)」(阿部 修氏、東京都開業)
「再生療法におけるマイクロサージェリーの有効性(テーマ:歯周治療・外科処置)」(勝部義明氏、大阪府開業)
「ペリオドンタルマイクロサージェリーの真実(テーマ:歯周治療・形成外科)」(松川敏久氏、奈良県開業)
「マイクロスコープはインプラント治療を高めている。いつでも、どこでも、誰でも。(テーマ:インプラント)」(柴原清隆氏、福岡県開業)
「群馬大学におけるendodontic microsurgeryの導入と根尖病変に対する治療戦略(テーマ:口腔外科)」(小川 将氏、群馬大)

 なかでも松川氏は、マイクロスコープを利用した結合組織移植手術について講演。拡大視野下での侵襲の少ない治療により、患者の痛みが減り早期治癒が可能となる結果、患者が治療を受け入れるハードルも下がるという。上顎前歯部の根面被覆だけを要望していた患者が、実際に治療を受けたところ、その負担の少なさにより他の部位の根面被覆も希望したケースも供覧された。

 歯科衛生士シンポジウムでは、予防業務におけるマイクロスコープの活用例が発表された。約100人収容のスペースに立ち見が出るほどの盛況で、歯科衛生士だけでなく歯科医師の姿も多く見られた。演者と演題は以下の通り。

「見える!伝える!マイクロスコープ下での歯周初期治療」(髙橋規子氏、歯科衛生士・高田歯科)
「患者さんとDHの信頼関係を深めるマイクロスコープメンテナンス」(大野真美氏、歯科衛生士・カガミ歯科医院)
「マイクロスコープで見るインプラント周囲の炎症」(片山奈美氏、歯科衛生士・中田歯科クリニック)

 マイクロスコープの特性のひとつとして、処置内容を強拡大視野かつ術者視点で撮影・録画できることがあるが、いずれの講演もそれを生かして、鮮明な画像や映像を用いた症例解説がなされていた。基調講演で木ノ本大会長が述べたように、まさに「Seeing is believing(百聞は一見にしかず)」――「見えること」の素晴らしさが伝わる講演ばかりであった。

 そのほか、稲本雄之氏(大歯大)による大会長賞受賞記念講演「磁力を用いた根管からの破折ファイル取り上げ」やランチョンセミナー、一般口演、ポスター発表、ハンズオンセミナーなども行われ、いずれも盛況となった。企業ブースでは各社のマイクロスコープが展示されたほか、『はじめての顕微鏡』(三橋 純氏、クインテッセンス出版刊)などの顕微鏡歯科関連の最新書籍も披露もされ、参加者が人垣をなした。