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2018年5月20日

日歯、公開フォーラムを開催

「多職種による母子保健の推進」をテーマに約200名が参集

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 さる5月20日(日)、歯科医師会館において、日本歯科医師会(以下、日歯、堀 憲郎会長)による公開フォーラム「多職種による母子保健の推進―歯科からの提案―」が開催され、全国から約200名が参集し、会場は熱気に包まれた。

 本公開フォーラムは、妊娠期から就学前の母子保健の推進において、歯科が果たす役割を発信すべく開催されたもの。子育て世代を身近な地域で親身に支える仕組みの整備を目指し、市区町村では「子育て世代包括支援センター」の平成32年度末までの設置が急がれているが、こうした新たなシステムづくりのなかで歯科がどうかかわっていくかという提案がなされた。

 高野直久氏(日歯常任理事)による開会の辞の後、来賓の平子哲夫氏(厚生労働省子ども家庭局母子保健課)と温泉川梅代氏(日本医師会常任理事)から挨拶があり、また主催者挨拶では佐藤 保氏(日歯副会長)が、安心して出産し子育てできる環境づくりに歯科が積極的に役割を果たすべく、母子保健に関して具体的に踏み込んだ提案が求められているとし、「本フォーラムが行政機関・医療機関が相互にその役割を理解し合う契機となり、多職種の連携がより一層密になっていくことを願う」と述べた。

 フォーラム前半は、母子保健の専門家の立場から、奥山眞紀子氏(国立成育医療研究センター)と佐藤拓代氏(大阪母子医療センター)による講演が行われた。奥山氏からは、妊娠期からの切れ目ない母親への支援が虐待防止に不可欠であること、それを実現化するための子育て世代包括支援センターのビジョンが示された。佐藤氏からは、平成29年に施行された「改正母子保健法」の主旨ならびに事業内容と、子どもを親だけでなく社会全体で育てるには、多機関・多職種による子育て支援が必須であること、歯科の集団健診や診療時の気づきを保健機関と共有することの重要性が語られた。

 後半は、木本茂成氏(神歯大)より、日本歯科医学会による「口腔機能発達評価マニュアル」作成の経緯と、子育て支援における歯科の役割として、歯科医療従事者が摂食機能向上の担い手であることを広く国民に啓発していく必要性が述べられた。

 また、田村文誉氏(日歯大)からは、高齢の在宅療養者に比して歯科的支援が不足しがちとなっている在宅療養児の訪問歯科診療に関して、多摩地区の地域連携例と、地域連携システムの構築の経緯が紹介され、医科の主治医との綿密な連携および連携病院の確保などの多職種連携が不可欠であることが述べられた。

 最後に倉橋俊至氏(荒川区保健所長)から、地域の保健活動における保健所の機能が概説され、荒川区保健所の母子保健事業や歯科保健事業の概要、また歯科と保健所の相互の連携が母子支援につながった事例が紹介され、各機関の情報共有の重要性が示された。

 講演後は、温泉川氏も加わってパネルディスカッションが行われ、歯科がもつ豊富なリソースを多機関・多職種の連携に生かすべく、今後さらなる発信を行っていくことが確認された。質疑応答では、子育て世代包括支援センターに関する会場からの質問にパネリストが回答し、フォーラムは盛会裏に閉会した。