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2018年7月7日

第31回日本顎関節学会総会・学術大会/第23回日本口腔顔面痛学会学術大会/第33回日本歯科心身医学会総会・学術大会開催

「痛みを究める―侵害受容性疼痛・神経障害性疼痛・心因性疼痛」をメインテーマに初の3学会合同で

 さる7月7日(土)、8(日)の両日、北九州国際会議場および西日本総合展示場新館AIM(ともに福岡県)において、第31回日本顎関節学会総会・学術大会(鱒見進一大会長、古谷野 潔理事長)、第23回日本口腔顔面痛学会学術大会(松香芳三大会長、今村佳樹理事長)、第33回日本歯科心身医学会総会・学術大会(依田哲也大会長、小池一喜理事長)が「痛みを究める―侵害受容性疼痛・神経障害性疼痛・心因性疼痛」をメインテーマに、初の試みとなる3学会合同で開催された。

 初日の午前は、3学会合同による教育セミナー(1)「よく診る典型的痛みをどの様に捉えるか、専門家による違い」が以下の演題・演者にて行われた。
1.「顎関節痛を生じる疾患」(川上哲司氏、奈良県立医科大)
2.「顎関節部および顔面の持続痛に対する鑑別診断と治療」(村岡 渡氏、川崎市立井田病院)
3.「口腔内灼熱症候群の視点から」(大久保昌和氏、日大松戸)
4.「筋痛および筋膜性疼痛から診た二次性舌痛症のとらえ方」(原 節宏氏、日歯大)
5.「口腔外科リエゾン外来における慢性的な舌痛の診断と治療」(伊藤幹子氏、愛院大、天候不順により欠席のため、座長・和嶋浩一氏(慶応大)による代読)

 初日の午後は、3学会合同によるメインシンポジウム「痛みを究める~侵害受容性疼痛・神経障害性疼痛・心因性疼痛~」が行われた。

 まず、日本顎関節学会を代表して小見山 道氏(日大松戸)が登壇。「痛みを究める―侵害受容性疼痛―」と題して、顎関節症の疼痛を主症状とする病態分類である咀嚼筋痛障害と顎関節障害について解説し、これら侵害受容性疼痛の長期経過における神経障害性疼痛、心因性疼痛の移行的な様相を、症例を通して語った。

 次に、今村佳樹氏(日大)が日本口腔顔面痛学会を代表して「三叉神経の神経障害性疼痛の診断に関するコンセンサス」と題して登壇。神経障害性疼痛は体性感覚神経(三叉神経)系の障害による疼痛であるとしてその病態の概念を整理するとともに、その検査・診断を語った。

 最後に豊福 明氏(医歯大)が日本歯科心身医学会を代表して「『心因性』と呼ばれる痛みとは何なのか?」と題して登壇。心因性と呼ばれる痛みの現実的な治療方法は、歯科医療としての適応と限界を十分熟知したうえで、必要十分な薬物療法と心理療法的かかわりが必要であること、また歯科を軸足に「こころまで診る姿勢」が重要になると語った。

 日本顎関節学会による2日目のモーニングセミナー「歯の痛み・口腔違和感の脳機能イメージングと診断・治療」では、難治性の疼痛をともなう顎関節症や咬合違和感などの対応の難しい症例に対して、脳機能の面からの理解を促した。

 まず澁谷智明氏(神奈川県勤務)が「他覚所見で自覚症状を説明できない症例にはどのように対応すれば良いか」と題して、上述のような歯科的難症例を提示して問題提起を行った。そのうえで、小野弓絵氏(明治大理工学部)が「歯の痛み・口腔違和感の脳機能イメージングと診断・治療」と題して、痛みや違和感などの情動を脳機能イメージングで可視化するための基礎研究や臨床研究を提示し、慢性痛や咬合違和感症候群患者の脳に生じている感覚受容機構の変化等を画像を提示しながら語った。

 そのほか、日本顎関節学会による海外特別講演として同会名誉会員のGlenn T. Clark氏(南カリフォルニア大学)が「Artificial Intelligence in Orofacial Pain Diagnosis!」と題して講演を行い、近年話題のAI技術による口腔顔面痛の診断の可能性を語ったほか、両日にわたり3学会それぞれが多様な教育セミナー、特別講演、シンポジウムを行い、一般口演、ポスター発表、ランチョンセミナー、市民公開講座などと併せて会場はおおいに賑わった。