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2018年8月19日

深井保健科学研究所第17回コロキウムが開催

「超高齢社会の健康を考える」をテーマに

 さる8月19日(日)、ベルサール東京日本橋(東京都)において、深井保健科学研究所第17回コロキウム(深井穫博所長)が「超高齢社会の健康を考える」をテーマに開催され、疫学や公衆衛生を専門とする大学関係者、行政関係者、臨床家らが多数参集し盛会となった。

 長寿社会における持続可能な社会保障制度について、日本で団塊の世代が75歳を迎える2025年、そして100歳となる2050年をめざした健康に関する制度改革と健康政策が進んでいる。具体的には、本年2月に高齢社会対策大綱が示され、4月には地域包括ケアシステム強化法が施行された。また、6月には経済財政運営と改革の基本方針2018および未来投資戦略2018が次々と公表され、団塊の世代が90歳を迎える2040年に向けた制度設計とそのための目標が示されてきている。

 このなかで、NCDs(非感染性疾患)予防およびフレイル予防が健康施策の柱となっているとともに、個体の老化を踏まえた健康増進は研究および実践上の課題である。今回のコロキウムでは、高齢者の健康評価と歯科口腔保健の健康増進に対する効果を長期・短期の視点からとらえ、高齢者と健康に関する研究および政策について、コホート研究、ビッグデータの利活用、栄養と口腔保健など、多職種連携の観点から議論された。

 主なプログラムとしては、まず宮崎秀夫氏(明倫短期大教授、新潟大名誉教授)による特別講演が行われ、新潟コホート研究の成果と課題について解説。今後は、各研究者がデータをオープンにて周囲も巻き込み、データを増やしていくことが重要とした。

 つづくシンポジウム1「コホート研究における対象年齢とアウトカム評価の課題」では、岡本 希氏(兵庫教育大准教授)、竹内研時氏(九大)、岩崎正則氏(九歯大准教授)、神原正樹氏(神原グローバルヘルス研究所)がそれぞれ講演。なかでも神原氏は、今まで主に疾患を対象にしてきた歯科医療は健康を対象としたものにシフトすべきとしたうえで、健康を客観的に評価するために氏が開発したシステムなどを紹介した。

 シンポジウム2「ビッグデータ利活用の展開と課題」では、恒石美登里氏(日本歯科総合研究機構)、大島克郎氏(日歯大東京短期大教授)、嶋崎義浩氏(愛院大教授)、岡本悦司氏(福知山公立大教授)が登壇。実際にレセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)を利用した体験をもとに、その可能性や今後の課題についてコメントした。

 シンポジウム3「口腔保健と栄養・多職種連携」は2パートに分けられ、パート1「特定保健指導と口腔保健」では、安藤雄一氏(国立保健医療科学院)、野村義明氏(鶴見大准教授)、花田信弘氏(鶴見大教授)、深井氏(埼玉県開業)がそれぞれ講演。なかでも、安藤氏は過去10年間、特定健診・特定保健指導において歯科が「蚊帳の外」状態であったものの、2018年度より特定健診の「標準的な質問票」に咀嚼に関する質問が新たに組み込まれたことにより、ようやく国がすすめる「生活習慣病対策」の歯車の1つになったと述べたうえで、「生活習慣病対応型」の歯科医院を増やす好機到来であると語った。

 パート2「口腔保健と栄養のアウトカム・多職種連携」では、金澤 学氏(医歯大)、本川佳子氏(東京都健康長寿医療センター、管理栄養士)、中西明美氏(女子栄養大、管理栄養士)、片岡竜太氏(昭和大教授)がそれぞれ講演した。終始活発な議論が交わされたが、多職種連携を実践していくためには、他分野の学会・講演会等に積極的に参加して、連携における自分の専門職の役割について発信し、周囲の理解を深めていくことも重要であるとした。