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2018年8月29日

三師会と四病協、合同記者会見を開催

控除対象外消費税問題の解決に向けて「新たな仕組み」を提言

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 さる8月29日(水)、日本医師会館において、日本医師会(横倉義武会長)、日本歯科医師会(以下、日歯、堀 憲郎会長)、日本薬剤師会(山本信夫会長)によって構成される三師会と四病院団体協議会による合同記者会見が開催された。本会見は平成31年10月に予定されている消費税率10%への引き上げに向けて、医療機関における控除対象外消費税問題への対策を提言することを目的とするものである。

 今回の会見で説明が行われた提言では、病院、一般診療所、歯科診療所、薬局などの医療機関の控除対象外消費税問題の解消に向けて、医療界が一致団結できる具体的な対応として「新たな仕組み」が示された。以下に内容を示す。

1)概要
 診療報酬への補てんを維持した上で、個別の医療機関等ごとに診療報酬本体に含まれる消費税補てん相当額と個別の医療機関などが負担した控除対象外仕入れ税額(医薬品・特定保険医療材料を除く)を比較し、申告により補てんの過不足に対応する。診療報酬への補てんについては、消費税率10%への引き上げ時に医療機関等種類別の補てんのばらつきを丁寧に検証し是正する。その後の診療報酬改定でも必要に応じて検証、是正を行う。

2)適用対象
 消費税および所得税について実額計算で申告を行っている医療機関等開設者を対象とする。なお、(1)消費税について免税事業者(自由診療などの課税売上が年間1000万円以下の事業者)、(2)消費税について簡易課税事業者(自由診療などの課税売上が年間1000万円以下の事業者)、(3)所得税について概算経費の特例(四段階制)を利用している事業者、は新たな仕組みの対象外とし、現行どおりの診療報酬で対応する。

 本提言では医療に対する消費税の課税について、「国民(有権者)の広い理解を得難く、政治的に極めて実現困難な現状にある」と指摘し、「控除対象外消費税問題はまったなしであり、あらためて控除対象外消費税問題解消のための税制上の新たな仕組みを提言した」と締めくくった。

 日歯の堀会長は、まず、医療界においてさまざまな事情が存在する現状を踏まえ、「医療界が一致した方向性を得ることを最大の目標として5、6年にわたり協議をしてきた」と振り返りながら、三師会と四病協で合意できる内容がまとまったことに対し、日本医師会および各団体の関係者の尽力に感謝の意を示した。

 また、診療報酬による補てんに過不足があった場合については、財源の確保や取り扱いなどに対する課題はあるとしつつも、今日の提言は日歯としても「合意了解したものである」と述べた。今後は合意された仕組みの実現に向けて、「歯科からも関係方面への理解を求めることに全力を挙げる」と語った。

 「医療機関等における消費税負担に関する分科会」が7月25日に開催され、2014年度に実施された消費税率8%への引き上げに対応するための診療報酬プラス改定の補填状況調査に誤りがあったことを厚労省が明らかにした。この報告を受け、堀会長は「今回のような誤りによって補てん漏れが生ずるようなことがあってはならない」とし、原因の徹底的な検証と対応を求めた。最後に、今回の合意内容が実現して実効的に機能させるためには、「補てんされるべき控除対象外消費税の額の正確な把握および補てんされている額の正確な把握が大前提である」との見解を示した。