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2018年9月4日

第20回日本感性工学会大会が開催

感性工学の知見を活かした歯科医院ブランディングの研究成果が発表される

 さる9月4日(火)から、6日(木)の3日間、東京大学本郷キャンパスにおいて、第20回日本感性工学会大会(村上 存実行委員長、庄司裕子会長)が開催された。

 6日(木)には感性工学マーケティング・マネジメント部会によるセッション「感性工学から見た歯科医院ブランディング」が開かれ、歯科に関する研究発表が行われた。はじめに、小山雅明氏(アイワ広告代表取締役社長) が本企画セッションの趣旨説明を行った。小山氏は、ブランド研究の本質は企業側の課題だけを単独で扱うのではなく、企業の狙いが顧客やノンカスタマーに対してどのような幻想を作り出しているのかを研究することになると述べた。小山氏は、この幻想を蜃気楼現象(実際の位置より高い位置に見える上方蜃気楼、実際より低い位置に見える下方蜃気楼)に例えて説明し、提供されるサービスと顧客の相互作用が作る知覚システムとしてのブランド構築が、歯科医院の経営にも欠かせないと述べた。

 次に、椎塚久雄氏(SKEL 椎塚感性工学研究所)が「行動経済学から見たブランディングとその理論~歯科ブランディングにおけるマーケティング・広告・PRの展開~ 」の題で登壇。ブランディングの観点から、マーケティング、PR、広告に対する考察を示し、中心的な核になる概念はブランドの真正性(本物性)であると主張した。

 続いて、小山氏が「歯科医院ブランディングにおける感性工学の役割〜歯科医院ブランディングに影響を与える主な要因とは何か〜」と題して登壇。歯科医院は技術的商品ブランドの差別化がしづらい業界であるにもかかわらず、患者からの評価による「勝ち負け」が明確に分化している業界であると分析。歯科医院ブランディングの先行研究は歯科医師に対するブランディング要素を調査した研究であり、患者の視点が欠落していることを指摘した。今後のブランディング研究では、歯科医院の物理的側面と患者側の感性の相互作用に着眼することが重要であると主張した。

 さらに、廣田祥司氏(シグマブレイン・GENOVA)が「医療におけるマーケティングの有効性〜持続的歯科医院と歯科医師のパーソナルブランディングの関係〜」の題で登壇。医療という市場をミクロ経済学の手法を使って分析するという医療経済学の概念を紹介。医療消費者である患者と医療提供者である医療機関との「情報の非対称性」の緩和が医療再生の鍵となると主張し、パーソナルブランディングが顧客満足の向上に有効であると結論付けた。

 最後に、鈴木仙一氏 (神奈川県開業、国際口腔インプラント学会次期世界会長)と高橋由樹氏(アイワ広告)が「野立て看板の効果検証法の提案〜野立て看板を用いた歯科医院ブランディングのケーススタディー〜」の題で登壇。野立て看板の事例を示し、今後の課題として(1)商圏・診療圏の変化測定、(2)デザインの定量化の提案、の2点を挙げた。

 本会は「感性工学から見た歯科医院ブランディング」をテーマに4つの研究発表が行われ、人間の感性に対して科学的手法を用いて分析する試みが示された。「感性工学」の知見を歯科医院の経営に導入する意義が学べる研究会となり、参加者は熱心に耳を傾けていた。