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2018年9月29日

日本歯科審美学会第29回学術大会開催

「ほほえみをあなたに ―That's what we are for―」をテーマに

 さる9月29日(土)から30日(日)の2日間、ウェスタ川越(埼玉県)において、日本歯科審美学会第29回学術大会(藤澤政紀大会長、奈良陽一郎理事長)が「ほほえみをあなたに ―That's what we are for―」をテーマに開催され、およそ700名が参加する盛会となった。以下、主要な演題について概説する。

(1)教育講演「素敵なスマイルを身につけよう―インプレッショントレーニング(R)」(重太みゆき氏、エムスノージャパン/亜細亜大経営学部ホスピタリティ・マネジメント学科/インプレッションマスター(R))
 本演題では、テレビ出演や講演活動で著名な印象評論家・印象行動学者の重太氏が登壇。信頼される歯科医院になるためには技術力に加えて「印象力」が必要であるとの観点から、氏が提唱する「インプレッショントレーニング(R)」の一部を披露。手の位置や「顔グセ」、あいさつをする際の表情と発言のタイミング、そして表情を豊かにするためのマッサージ法など、患者に好印象を与える方法が多数示された。また、本講演ではVJ(VisualJockey)技術も駆使され、重太氏の表情やプレゼンテーションを捉えて映写・キャプション表示をすることはもちろん、会場内の参加者の表情も逐次捉え、会場の一体感を盛り上げていた点も印象的であった。

(2)理事長講演「これからの日本歯科審美学会を見据えて」(奈良陽一郎氏、日歯大生命歯学部接着歯科学講座)
 恒例の理事長講演では、とくに日本歯科審美学会が30周年を迎えたことをテーマに奈良陽一郎氏が登壇。同学会を「働き盛りの30歳」に見立て、これまでの動きと今後の展望について語った。また、今後の発展のためには「求められる学会」となることが不可欠であるとし、会員アンケートの結果を披露。学術大会に参加したことのない会員が3割ほど存在する点や、認定医・認定士・ホワイトニングコーディネーターの資格取得方法など、会員そして一般社会にとって今後より魅力的な学会になることが重要であるとした。また、認定医からの専門医への格上げについても目指していくとした。

(3)シンポジウム「患者さんにとっての審美歯科治療 ―クーリングオフ制度と医療広告―」(真鍋厚史座長、昭和大歯学部歯科保存学講座美容歯科学部門)
 本シンポジウムでは、歯科治療の一部にクーリングオフ制度が適用されるようになったことや、歯科医院のWebサイトへの規制強化が行われたことなどを受け、「医療法の広告規制について」(渡邊 譲氏、厚生労働省医政局総務課)、「歯科治療・美容医療サービスに関する消費者トラブルについて」(丸山琴野氏、国民生活センター相談情報部相談第2課)、「歯のホワイトニング治療 ―説明と同意―」(日野年澄氏、大阪府開業)の3題が行われた。渡邊氏は広告規制の趣旨や規制の範囲などについて、丸山氏は国民生活センターに寄せられる歯科治療に対する相談や美容医療サービスに対して寄せられる相談の実例や相談件数の推移について、そして日野氏は、患者とのトラブル防止のために日本歯科審美学会が策定した11項目からなる「歯のホワイトニング患者への説明と同意に関する指針」の活用などについて示した。インターネットの進化により多くの情報が行き渡るようになった現在におけるコンプライアンスの重要性を示したシンポジウムとなっていた。

(4)アドバンストセミナー(保存)「保存補綴の境界」(小林幹宏座長、昭和大歯学部歯科保存学講座美容歯科学部門)
 本セミナーでは、「ダイレクトボンディングでどこまでできるのか」(保坂啓一氏、医歯大大学院う蝕制御学分野)、「審美修復治療におけるMIを考える」(北原信也氏、東京都開業)の2題が行われた。いずれも、直接法(コンポジットレジン直接修復)と間接法の適応症について考察する内容となっており、保坂氏はダイレクトブリッジや広範囲にわたる酸蝕への対応など直接法の可能性を最大限に追求する内容、北原氏は外傷歯に対してオールセラミッククラウンとポーセレンラミネートベニアを応用した症例を軸に、可及的にMIを意識することの重要性と、間接法ならではの利点を示した。

(5)アドバンストセミナー(補綴)「審美補綴におけるデジタルデンティストリーの現状と将来」(日野年澄座長)
 本セミナーでは、「デジタル技術を用いた審美補綴の実際 ―咬合機能と形態の融合―」(小川 匠氏、鶴見大歯学部クラウンブリッジ補綴学講座)、「審美補綴はどう変わるか? ―デジタル化による「造形美」と「機能美」―」(梅原一浩氏、青森県開業)の2題が行われた。いずれもデジタルとアナログの融合、すなわち模型用/口腔内スキャナーからの口腔内形態取得、CTを用いた顎顔面の骨形態取得、顎運動記録装置を用いた顎運動の記録、そしてフェイシャルスキャナーによる顔貌表面のデータ取得などを軸に、今後のデジタルデンティストリーの進化、すなわち上記データ群のシームレスな連携と補綴装置製作への活用について述べられた。
 
 この他、会場では各種セミナー、ポスター発表、市民公開講座が開催され、いずれも盛況となっていた。また29日には川越プリンスホテル(埼玉県)にて「一般社団法人日本歯科審美学会 学会設立30周年記念祝賀会・会員懇親会」も行われ、こちらも盛会であった。なお、来年度の学術大会は、きたる2019年11月30日(土)~12月1日(日)に、昭和大学上條記念館(東京都)で開催される予定。