Quint Dental Gate 歯科のコミュニケーションサイト

文字サイズ
標準
特大

トピックス


2018年11月23日

ヘルスケアミーティング2018 設立20周年記念大会

「明日は見えていますか? あなたが創る未来の歯科医療」をテーマに

ログインされますと、関連書籍が表示されます。
会員でない方はこちら
(※関連書籍がないトピックスは表示されません)

 さる11月23日(金)、24日(土)の両日、秋葉原コンベンションホール(東京都)において、日本ヘルスケア歯科学会(杉山精一代表)によるヘルスケアミーティング2018 設立20周年記念大会「明日は見えていますか? あなたが創る未来の歯科医療」が開催された。

 はじめに、同学会副代表の斉藤 仁氏(北海道開業)が設立趣旨を説明した後、この20年を経て、次世代を担う歯科医師の意識と来院患者の現状(初診時主訴)がどう変化したか、同学会内での調査結果を示した。来院患者の主訴においては、20年前は約6割が過去に治療した部位の不調の訴えだったが、臨床実感として、現在も過去の治療部位の修復が多いのではないかと会場内に問いかけた。

 1日目は、「明日を<見える化>する」と題し、午前中は相田 潤氏(東北大歯学部准教授)と小椋正之氏(厚生労働省歯科医療管理官)が登壇した。相田氏は、昨今、小児のう蝕は減少傾向にあり、今後は口腔機能回復へとシフトしていくことが強調されるが、依然として10代後半と中高年のう蝕、歯周病罹患率は高く、とくに高齢者では8020達成者の増加により、う蝕は増加傾向にあると説いた。20歳以上の30%に未処置う蝕があるというデータを示したうえで、「口腔機能を守るためにも、う蝕と歯周病への対策は今後も重要である」と警笛を鳴らした。

 続いて、小椋氏が登壇し、自身が携わった平成28年度と平成30年度の歯科診療報酬改定について、策定がどのように行われるかを解説。そのうえで、近年の歯科医療保険の動向として、歯の形態回復を主体としていた「治療中心型」から全身疾患などもふまえた口腔機能回復に重きがおかれた「治療・管理・連携型」へシフトしてきていると分析した。

 午後は「ヘルスケア歯科診療を実践してきた成果」と題し、杉山氏と同学会副代表の藤木省三氏(兵庫県開業)が登壇。はじめに藤木氏が20年経過症例の記録をもとに、う蝕と歯周病の原因論を理解しコントロールすることで成果がでることを示した。杉山氏は本学会での調査研究Japan Health Care Dental Outcome Project(通称:Doプロジェクト)の報告をまとめ、この20年を振り返った。

 2日目は、2018年認証診療所、認定歯科衛生士、会員4年目歯科衛生士の表彰の後、「バーチャル・ヘルスケア歯科医院見学」と題し、ヘルスケア歯科診療の本質を掘り下げるための企画が行われた。伝える、取り組む、実践する、の3パートごとに、地域性や規模、開業年数などがそれぞれ異なる歯科医院の歯科医師、歯科衛生士が登壇し、各院での実際の取り組みや工夫点が動画やスライドショーで紹介された。

 本学会が掲げる「病因論に基づいた治療」「定期的健康管理」「結果を常に検証し改善を続ける」ことを実現するための正解の型はなく、多様な取り組み方があり、それぞれのやり方で実現できることが垣間見える1日となった。

 なお、次回ミーティングは同会場にて、きたる2019年10月13日(日)、14日(月)に開催される予定である。