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2019年2月2日

日本義歯ケア学会 第11回学術大会開催

全国から130名あまりが参集

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 さる2月2日(土)、3日(日)の両日、東京医科歯科大学歯学部特別講堂(東京都)において、日本義歯ケア学会第11回学術大会(水口俊介理事長・大会長、医歯大大学院医歯学総合研究科高齢者歯科学分野)が開催され、全国から130名あまりが参集した。

 2日午後からは、理事会、「義歯ケアマイスター試験」(同学会が、義歯ケアに関する知識・技能を十分に備え、正しい知識を使用者・家族・介護者に伝えることができると認定した者に与える名称)、一般口演12演題、および懇親会が行われた。また3日午前からは、シンポジウムおよび特別講演が行われた。以下に、シンポジウムおよび特別講演の演題とその概要を示す。

1)シンポジウム「義歯装着者の口腔を根面う蝕から守る」(水口俊介座長)
 本シンポジウムでは、「高齢者の根面う蝕 ―予防と修復方法について」と題して猪越正直氏(医歯大大学院医歯学総合研究科高齢者歯科学分野)が、「歯磨剤による根面う蝕予防アプローチについて」と題して藤川晴彦氏(ライオン株式会社 研究開発本部 口腔健康科学研究所)が、そして「高齢者歯科医療へのバイオアクティブ戦略の展開 ~S-PRGフィラー/Giomerを用いた臨床応の可能性を探る~」と題して中塚稔之氏(株式会社 松風)がそれぞれ登壇。猪越氏はこれまでに蓄積された根面う蝕に関する論文データをできるかぎり引用しつつ、根面う蝕への対応法を考察。高濃度フッ素含有歯磨剤やフッ化物洗口の有用性、また近年になって見直されているフッ化ジアンミン銀の活用、そしてコンポジットレジン充填とグラスアイオノマー充填それぞれの適応などについて示した。また藤川氏は、ライオン歯科材社が展開する歯科医院用製品「チェックアップ」シリーズのコンセプト、また2017年発売の、根面う蝕の予防を念頭にした製品「チェックアップ ルートケア」の特長について詳説。同製品に含まれるPCA(ピロリドンカルボン酸)が、露出した象牙質に影響するコラゲナーゼの抑制に効果をもつことなどを示した。そして中塚氏は、標題に示す松風社の「S-PRGフィラー/Giomer」について紹介。6種類のイオンを放出し、またフッ素リチャージ能をもつS-PRGフィラーの歯質強化機能や酸緩衝能といった基礎的解説、および既存の応用製品(充填用材料など)の説明に加え、義歯床用材料や粘膜調整材への添加といった今後の展望についても示した。なおGiomerとは、S-PRGフィラーを含有する製品の総称とのこと。

2)特別講演「口腔乾燥症と口腔水分計」(依田哲也氏、医歯大大学院顎顔面外科学分野)
 本講演では、2018年の保険改定で導入された病名「口腔機能低下症」の診断要件のひとつである口腔乾燥の測定に用いることで注目を集めた装置「ムーカス」(ライフ)の開発に携わった依田氏が登壇。唾液の成分・効用や口腔乾燥の原因および対処法について述べたうえで、ムーカスの開発秘話から今後の臨床応用について解説。試作段階での不安定さや、それを克服して現在では第4世代となっている同装置の特長について示した。これまでの肉眼では難しかった客観的な口腔乾燥の評価が静電容量を検知する本装置で可能となるだけではなく、熱中症の診断や終末期患者の状態の判断にも応用が試みられているとのことであった。

 また、会場ではポスター発表や企業展示も併せて行われ、こちらも盛況となっていた。なお、次回の第12回学術大会は愛知学院大学歯学部において、きたる2020年2月に開催予定とのこと。