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2019年2月11日

『ザ・クインテッセンス』連載スピンオフ企画 猪原 健氏による講演会開催

社会課題の解決について考える熱気あふれる一日に

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 さる2月11日(月)、リロの会議室コンフォート新宿(東京都)において、猪原 健氏(広島県勤務)による講演会「社会課題の解決に挑む」が行われた。本講演は、『ザ・クインテッセンス』2018年7~12月号連載「社会課題の解決を目指して」のスピンオフ企画として歯科医師向けに開催され、幅広い世代が集まった。

 はじめに、猪原 健氏が社会課題を考えるきっかけとなった出来事として、自院のスタッフの3割がシングルマザーであったことから取り組んだ働き方改革について紹介。日本は、世界におけるひとり親世帯の就業率がもっとも高いにもかかわらず、相対的貧困率がもっとも高いという問題に触れながら、日本社会の雇用問題について言及した。

 続いて、猪原 光氏(広島県勤務)が医療的ケア児との出会いから、自院を地域の拠り所として開放したり、地域の大道芸イベントとのコラボ企画などの事例を紹介。そのうえで、「歯科医師はファーストアクションを起こせる立場にあるのではないか」と結んだ。

 ゲストスピーカーとして、最初に竹歳 彩氏(一般社団法人RAC理事長、歯科医師)が登壇し、自身が取り組んでいる短期の地域里親の普及啓発活動について紹介した。虐待死などのデータを示したうえで、日本では要保護児童が45,000人おり、子どもが慣れ親しんだ学校や住まいを変えなければならない現状について言及。特別養子縁組にくらべて認知度の低い養育里親について、両者を比較しながら詳説した。最後に氏は、「“歯科医師”という職業は強みになることもあるが、“歯科医師だからできること”に固執しなくてもよいのではないか、職業が足枷となっていないか」と会場に問いかけた。

 続いて、三島理恵氏(日本ファンドレイジング協会コミュニケーションアドバイザー/CSR・NPOコンサルタント)が、社会課題解決に向けたアクションを起こすための資金調達の手段である「ファンドレイジング」について紹介した。国民の約7割が社会の役に立ちたいと考えている時代であることをふまえ、子ども食堂を事例に、既存・潜在寄付者を分析すること、共感を得て適切な支援の仕方を提示すること、コミュニケーションをとり続けていくことなどの重要性を説いた。氏は専門家の視点は重要だとしたうえで、「自分の専門領域外でつながりをつくることで、専門性が発揮されるのではないか」と主張した。

 SDGsをもとに社会課題を整理し、どのようなアクションを起こせるかを考えるグループワークも行われ、会場はおおいに盛り上がった。