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2019年3月31日

第20回九州インプラント研究会(KIRG)学術講演会開催

要介護患者や訪問歯科の現場での臨床が幅広く語られる

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 さる3月31日(日)、福岡県歯科医師会(福岡県)において、第20回九州インプラント研究会(KIRG)学術講演会(伊東隆利会長)が約150名を集め開催された。

 まず、伊東隆利氏(熊本県開業)によるKIRGの2018年度の日本口腔インプラント学会認定の専門試験合格者や活動報告を兼ねた会長挨拶が行われた。

 次に、教育講演として原 俊浩氏(東京都開業)が「インプラント補綴のキーポイント~EAOの専門医受験とともに~」と題し、特にフィクスチャーとアバットメントの適合精度をテーマに長期予後が見込める上部構造の製作方法について論じた。加えて、自身が日本人で7人目のEAO(European Association for Osseointegration)専門医資格を取得したことについて、実際の試験の様子やその対策などを詳らかにした。

 続いて、田中譲治氏(千葉県開業)による特別講演「要介護を見据えたインプラント治療を考える~IOD設計変更必要度レベルから口腔内スキャナーの利用~」が行われた。本講演の内容は「クインテッセンス・デンタル・インプラントロジー(QDI)」誌2018年2号に掲載された記事を基に構成されたもので、固定性のインプラントからIOD(インプラントオーバーデンチャー)に設計変更した症例を供覧し、さらに2017年に自院に導入した口腔内スキャナーの臨床的有用性についても言及し、会場を沸かせた。その後、部屋を移して日本口腔インプラント学会認定専修医試験を控えた計7名の受験者による「模擬ケースプレゼンテーション(発表10分、質疑応答15分)」が行われ、専門医および指導医らから試験合格のコツなどが教授された。

 また、別ホールでは歯科衛生士部会学術講演会が併催され、特別講演として園田隆紹氏(熊本県勤務)による「摂食嚥下機能における口腔機能の重要性について」が行われた。高齢者はまず良好な栄養状態を整えることが重要と説き、訪問歯科の現場では認知症の進んだ患者の口腔内に残存したインプラントが悪者にされる傾向が強いが、臼歯部を失って噛めなくなって栄養状態が悪化するよりは、臼歯部にインプラントを埋入して咬合を再構成し、しっかり噛めるようにしてあげることが大切とした。最後に、前医と患者情報を共有することが不可欠であると結んだ。