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2019年4月13日

第7回SAFE学術大会開催

「インプラントのトラブルヘキサゴン 補綴・技工的合併症」をメインテーマに

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 さる4月13日(土)、14日(日)の両日、メルパルク大阪メルパルクホール(大阪府)において、第7回SAFE学術大会(奥田裕司大会長)が、「インプラントのトラブルヘキサゴン 補綴・技工的合併症」をテーマに開催され、約700名が会場に参集した。

 本大会は、インプラントのトラブル症例を検証する勉強会SAFE(Sharing All Failed Experiences)が主催する学術大会である。

 補綴・技工的合併症を「補綴のトラブルとは」「インプラントオーバーデンチャーのトラブル」「インプラント体のトラブル」「インプラント咬合のトラブル」「デジタルデンティストリー」「補綴材料のトラブル」「アバットメントのトラブル」「デジタルデンティストリーのトラブル」の8つのセッションに区分し、講演およびディスカッションが行われた。

 また14日(日)には、歯科医師向けのセッションとは別会場において、歯科衛生士向けのセッション「インプラントメインテナンス」「歯科衛生士・歯科医師コラボセッション」「歯科衛生士とインプラント補綴」も開催された。

 以下に当日の演題と演者を示す。

■歯科医師向けセッション
「文献から見えてくる補綴関連トラブルの現状」(和田誠大氏、阪大大学院歯学研究科講師)
「不良インプラントポジションによる歯列狭窄への補綴的リカバリー」(長尾龍典氏、京都府開業)
「ロケーターのトラブル」(中居伸行氏、京都府開業)
「磁性・バーアタッチメントのトラブル」(奥野幾久氏、大阪府開業)
「インプラント破折 什の掟 ならぬものはならぬものです」(宗像源博氏、昭和大歯科病院インプラント歯科診療科長准教授)
「無歯顎即時荷重インプラント治療を失敗しないためのポイント―All-on-4ってどうなの?―」(堀内克啓氏、奈良県開業)
「咬合再構成のトラブル」(大谷 昌氏、大阪府開業)
「長期経過におけるトラブル」(本多正明氏、大阪府開業)
「The new concept of esthetic digital implant dentistry」(山下恒彦氏、デンテックインターナショナル株式会社)
「補綴材料のトラブルとは」(大森有樹氏、大阪府開業)
「New generation of esthetic dentistry ジルコニアのトラブル」(一柳通宣氏、デンテックインターナショナル株式会社)
「力によるインプラント修復歯のトラブルを考察する」(岡崎英起氏、大阪府開業)
「スクリューリテインとカスタムチタンベースの落とし穴」(澤瀬 隆氏、長崎大歯学部学部長)
「インプラント補綴における審美的アプローチ」(関 克哉氏、Beaux Arts dental lab)
「Troubles in Digital Dentistry 歯科医師の立場から」(丸尾勝一郎氏、東京都開業)

 さらに特別講演として、「スクリューリテイン VS セメントリテイン」をテーマに、山下氏が「世界の潮流は?」、伊藤雄策氏(大阪府開業)が「スクリューリテインとセメントリテインの利点・欠点」、小宮山彌太郎氏(東京都開業)が「インプラント補綴の未来を考える(スクリューリテイン)」、山崎長郎氏(東京都開業)が「複雑なインプラント症例の外科-補綴の連携治療におけるセメント固定」と題して講演した。

 また、13日には奥田浩規氏(兵庫県開業)、高津充雄氏(大阪府開業)、入江裕介氏(大阪府勤務)、戸島大輔氏(Leaf dental laboratory)の4名による症例供覧とそれに対するディスカッションも行われた。

■歯科衛生士向けセッション
「インプラントメインテナンスの基本―何を診て、どう治す―」(大月基弘氏、大阪府開業)
「歯科衛生士業務のポイント」(蓮井恵理氏、歯科衛生士)
「正確なインプラント体埋入術の理論と実践―埋入術における外科助手のポイント―」(東 奈緒氏、野阪口腔外科クリニック・歯科衛生士/野阪泰弘氏、大阪府開業)
「トラブルを早期発見するには?」(横井亜希子氏、なかい歯科・歯科衛生士/中居伸行氏、京都府開業)
「包括治療のメインテナンス」(米澤大地氏、兵庫県開業)
「スクリューリテインとセメントリテインのメインテナンス」(中尾友香氏、センヤ歯科医院・歯科衛生士/泉谷剛行氏、大阪府開業)
「マイクロスコープで見るインプラント周囲の炎症」(片山奈美氏、中田歯科クリニック・歯科衛生士/中田光太郎氏、京都府開業)
「補綴的合併症のこれだけは知っておこう」(中島 康氏、大阪府開業)

 いずれの講演も過去のトラブルから学ぶ貴重な機会であり、参加者が熱心に聞き入り、質問を行う様子が見られた。また本大会は「補綴・技工的合併症」をテーマにしていたこともあり、歯科医師の講演に加え、歯科技工士による、歯科医師とは異なった視点からの講演も行われた。治療のテクニックに関する質問だけでなく、マテリアルに関する質問も複数見られたことが印象的であった。

 特別講演では、スクリューリテイン・セメントリテインそれぞれの連結様式を用いた長期症例が提示され、両者の利点および欠点を提示したうえで、各連結様式においてトラブルが生じないようにするための対応が示された。熟練の歯科医師による長期症例から連結様式を再考することができる、非常に貴重な機会であった。また特別講演中には、本学術大会の主催であるSAFEは十分なインプラント知識の蓄積があり、各メーカーのトップクラスのインストラクターが揃っているため、そのネットワークを活用すれば、緊急時に埋入されているインプラントメーカーの見極めをし、各メーカーが提供しているリムーバー等の貸し借りを患者のために行える環境づくりをすることができるのではないかという提案がなされた。

 なお、本大会では、『SAFE Troubleshooting Guide Volume4 補綴・技工的合併症編 インプラント治療の再介入を防ぐ欠損補綴設計・長期治療計画』(小社刊)が先行発売された。今後SAFEでは続刊を発刊していく予定である。

 次回大会となる第8回SAFE学術大会は、きたる2020年3月20日(金)、21日(土)に開催予定である。