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2019年4月19日

第73回NPO法人日本口腔科学会学術集会開催

「口腔科学の未来」をテーマに

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 さる4月19日(金)から21日(日)の3日間、ウェスタ川越(埼玉県)において、第73回NPO法人日本口腔科学会学術集会(嶋田 淳大会長、丹沢秀樹理事長)が、約950名の参加者のもと開催された。本学会は日本医学会の分科会で唯一の歯科系の学会であり、特別講演、理事長講演、海外招待講演、シンポジウム5題、ワークショップ3題、教育研修会、一般口演、ポスター発表、市民公開講座など、多様なプログラムが繰り広げられた。

 田口円裕氏(厚生労働省医政局歯科保健課課長)による特別講演「これからの歯科医療環境をどう考えるか 地域包括医療の未来 歯科医療の展望と役割」では、まず2040年を見越した国の方針として3年以上健康寿命の延伸をめざすことや、従来の病院・施設から在宅へという2元論だけではない循環型の医療・介護連携のあり方を各地域での実践をとおして構築することの必要性などを紹介。さらに国の将来目標をふまえた歯科保健医療のあり方として、治療中心型から予防管理連携型への転換による疾病予防および口腔機能の維持・向上・回復の取り組みの重要性や、こうした取り組みを評価する診療報酬の改定など、健康寿命の延伸に貢献する歯科の展望について解説した。

 シンポジウム「口腔機能と全身機能とのかかわり:寝たきりからの生還」では、最初に介護・ケアマネジメント医である竹内孝仁氏(国際医療福祉大大学院教授)が「歯科は自立支援の救世主 -咀嚼・活動連関 義歯・口腔機能の改善が寝たきり・認知症を改善」と題して講演。急性期病院で余命3か月と宣告され退院を余儀なくされ、元の施設に戻った90代の女性患者が、施設での自立支援介護による口からの常食摂取を行った結果、4か月後には自立するまでに回復した例を交えながら、咀嚼機能の重要性を強調。こうした摂食活動の復活だけで改善するケースが現場であることをふまえ、今後はそのメカニズムを研究して基礎を固め、臨床につなげる取り組みを進めたいと述べ、そのためにも歯科界がもっとその重要性を認識し、自立支援歯科学の確立に向けて取り組むべきと訴えた。

 続いて、河原英雄氏(大分県開業)が「超高齢社会における歯科の役割 義歯編」の演題で登壇。自立歩行ができなかった高齢者が、“噛める”義歯への改善により咀嚼機能を取り戻し、自食できるようになったことで全身の健康の回復に寄与したケースなど、動画を通じて多数の改善症例を紹介。口腔の機能が健康長寿に貢献することを強調するとともに、これからの歯科界を担う若い研究者の積極的な参加を呼びかけた。

 次回第74回学術集会は、きたる2020年4月16日(木)、17日(金)の2日間、朱鷺メッセ(新潟県)において開催予定となっている。