2020年7月19日掲載

初級編に引き続き、オンラインセミナーに約170名が参加

「NCCLのマネージメント~中級編~」をテーマに黒江氏、井上氏が講演

「NCCLのマネージメント~中級編~」をテーマに黒江氏、井上氏が講演
 さる7月19日(日)オンラインミーティングプログラムZOOM上において、「NCCLのマネージメント~中級編~どう考える? 何をみる? どう対処する?」をテーマに黒江敏史氏(山形県開業)、井上 和氏(歯科衛生士)の両氏による講演会が行われた。有料にもかかわらず、約170名が参加し、非う蝕性歯頚部歯質欠損(noncarious cervical lesion : NCCL)に対する関心の高さがうかがわれた。

 今回は、さる6月14日(日)に行われた初級編の続きということもあり、本講演の前に黒江氏によってNCCLの病因論について、アブフラクションの否定に至った経緯を含めた前回の振り返りが行われた。

 その後、本編前半として、アブフラクション仮説の歴史と現状について黒江氏が講演。今回は中級編ということもあり、少し踏み込んだ内容となった。「アブフラクションにはエビデンスがなく、確定診断ができない」という現状の認識を、McCoy論文やGrippo論文への考察、最新のコンピュータシミュレーションによる咬合力のかかる部位とNCCLの好発部位との重ね合わせ、考古学的資料からの検証などを用いて論じた。そしてEBMが重視される現代において、アブフラクションはいまだ検証されていない仮説であり、「あなたのアブフラクションの知識は1990年代で止まっていませんか?」と締めくくった。

 続いて井上氏が講演。前回同様に、口腔内の規格写真を用いた患者説明の重要性を説いたうえで、今回は主に酸蝕症によるtooth wearのインタビューにおいて重要なことを中心に講演した。そのなかで、歯科医療従事者自身が、どのようなものが歯を溶かすかを具体的に知ること、原因は1つとは限らないので掘り下げて聞くこと、習慣は変化するため経過観察を欠かさないことが重要であると述べた。

 また、具体的な酸性食品とその症例を例示して、tooth wearは少しずつ進み、患者は元の健全歯の形を知らないために気づかないので、歯科医療従事者がみつけてあげるべきだと述べ、実際に使用しているインタビューシートがデータにて配布された。

 最後に両氏への質問の時間が設けられ、歯ブラシの選択方法や歯磨剤使用の可否などについての質問に、ていねいなアドバイスが返された。なお、次回のセミナーはきたる9月頃開催予定とのこと。

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