2021年9月5日掲載

「偶発症とその対応」をテーマに

株式会社Toppy、第19回歯内療法症例検討会をWeb配信にて開催

株式会社Toppy、第19回歯内療法症例検討会をWeb配信にて開催
 さる9月5日(日)、Web配信において、第19回歯内療法症例検討会(株式会社Toppy主催)が行われた。本検討会は、吉岡隆知氏(東京都開業)が中心となり、歯内療法症例をさまざまな角度からディスカッションして日常臨床のヒントを得ること、また治療へのモチベーションを維持することを主目的に開催されているもの。午前中のセミナーでは、以下の演題・演者で講演が行われた。

「フレアアップ」(高林正行氏、東京都開業)
「歯内療法における超音波器具の発熱」(時田大輔氏、フリーランス歯科医師)
「気腫」(山内隆守氏、東京都開業)
「穿孔」(浦羽真太郎氏、昭和大)
「根管外異物」(野田園子氏、医歯大)
「ファイル除去」(坂上 斉氏、東京都開業)

 なかでも山内氏は、歯科治療における偶発症の1つである「皮下気腫」について、発症する原因、リスクマネージメント、発見した際の対応などを解説した。氏は、歯科治療で用いるエアフローやタービンによって皮下気腫が発症すると話し、発見した際の対応については、「気腫の範囲が広がる可能性があるため患部を絶対に押さないことを患者に伝える」、 「抗生剤や鎮痛薬の投与」、「口腔外科への依頼を行う」などを示した。また、氏の経験則から、付着歯肉が少ない部分および皮質骨が薄い部分には、十分に注意が必要であることを促した。

 午後の歯内療法症例検討会は、9名の演者による症例発表、質疑応答が行われた後、特別講演「浸潤麻酔による偶発症―新しい麻酔薬アーティカインを含めて―」と題し、深山治久氏(医歯大)を演者に迎え行われた。

 氏はまず、浸潤麻酔には痛みがともない、それにより偶発症が発症することも多いため、浸潤麻酔を行う際には注意が必要であると述べた。次に歯科治療中に起こりうる偶発症をいくつか挙げ、そのなかでも浸潤麻酔によって引き起こされるものとして、血管迷走神経反射、虚血性心疾患、アドレナリンによる過剰反応、高血圧性脳症を提示し、その原因、症状、処置について詳説した。また、偶発症が発症した際には、血圧の「上昇」「低下」「変化なし」によって診断を絞ることが可能であるため、血圧測定が重要になることを解説した。最後に、新しい麻酔薬であるアーティカインについて述べ、現在は岡山大学を中心に臨床治験中であり、3年後ぐらいには販売されるようになるのではないかと私見を述べた。

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