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2007年4月23日

ボストン5インプラント研究会

特別講演会 歯科医療としてのインプラント治療を考える 開催

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 さる4月23日(日)、株式会社ヨシダ研修室(東京都)にて、ボストン5インプラント研究会(小川勝久会長)主催の特別講演会が、会場満席の参加者約130名を集め盛大に開催された。本研究会は、インプラント治療を始めとして質の高い歯科治療を包括的に追求するという理念のもと2000年に組織され、以来、症例報告ミーティングや講演会など、積極的に活動を展開している。
 午前はまず、小川勝久氏(東京都開業)による会員発表が行われ、自身がこれまで行ってきた上顎前歯部のインプラント治療における成功と失敗の要素を検証した。氏は、硬・軟組織造成、使用するインプラントの選択、最終補綴物製作などに際しての注意点を解説するとともに、抜歯後即時埋入を行った症例に失敗が集中していることに言及。この方法が抜歯窩周囲の骨を優位に温存できる術式ではないとの見解を述べた。続いては小嶋 壽氏(CRMD主宰)が招待講演を展開。「インプラント治療を行う前に、患者の咬合を厳密に診断すべきである」と述べ、不正咬合が原因で天然歯にクラックが起きている症例などを供覧しながら、初診時の綿密な咬合診断が重要であることを再確認した。
 午後は、木村洋子氏(北海道開業)が会員発表において、無歯顎症例における各種治療法とそのプロトコールを提示するとともに、自身が近年積極的に取り組んでいるAll-on-4の術式と臨床的成果を詳説。併せて最新のコンピュータガイドシステムの有効な活用法について言及した。本会の最後は内藤正裕氏(くれなゐ塾主宰)が登壇。歯科補綴治療における咬合を加味した力のコントロールのあり方に触れ、咬合調整の手法、前歯部へかかる側方圧を考慮した臼歯部の補綴設計などを解説した。また、「インプラント補綴を行った歯の対合歯の予後を語るべき時代にきている」と述べ、講演後のディスカッション時には、咬合面のマテリアルの選択、ブラキシズムへの対応法などを解説するとともに、今後のインプラント治療においては、矯正医との連携が特に重要であるとの展望を語った。
 会場を満席に埋めた参加者には若い歯科医師の姿が多く見られ、講演会終了後も積極的に演者に質問を行うなど、今後のインプラント治療を担う臨床家が本会を支え、ますます発展を見せていくことを期待させる講演会となった。