2022年3月3日掲載

小田師巳氏が「大規模GBRとそれを回避するためのリッジプリザベーション」のテーマでWeb講演

クインテッセンス出版株式会社、第19回WEBINARを開催

クインテッセンス出版株式会社、第19回WEBINARを開催
 さる3月3日(木)、小田師巳氏(大阪府開業)によるWEBINAR #19「大規模GBRとそれを回避するためのリッジプリザベーション」(クインテッセンス出版主催、北峯康充代表取締役社長)が開催された。本セミナーは小田氏の共著書『正しい臨床決断をするためのエビデンス・ベースト・インプラントロジー』の内容をベースに行われた。

 小田氏は講演の中でGBR(骨再生誘導法)を行うにあたり、d-PTFEメンブレン(日本未承認)、チタンメッシュ、Tiハニカムメンブレンの3種それぞれの使用感について解説。特にTiハニカムメンブレンは高い血液透過性をもち、かつ薄膜であることから賦形性の良さやメンブレン除去が容易などの特徴を挙げ、効率良い骨再生が可能な有用性の高さを紹介した。

 その後は、Tiハニカムメンブレンを使用した症例を供覧しながら、一連の手技を解説した。そのポイントとして自家骨の採取方法やメスの入れかた、縫合結紮など動画とともにていねいに説明。氏は、「慣れれば短時間で多くの自家骨を採取可能で増生量を確保できる」と使用感についてもふれた。

 後半は、大規模GBRを回避するために採用したオープンバリアメンブレンテクニックの概念や手法を解説。本術式は、リッジプリザベーションの概念を基に抜歯窩の外側にGBRを行うという目的を加えた手法であり、吸収性メンブレンを使用することで一次閉鎖することなく、膜を露出させたまま創傷治癒させられることから、痛みや腫脹を軽減できかつ細菌感染リスクを抑えられるとメリットを強調。その後も、症例の経過観察から歯肉の厚みが回復し、効果的な組織再生に成功している様子を披露した。

 最後は、抜歯対象歯周囲の硬・軟組織の審美状況の度合いに基づいたARP(歯槽堤保存術)の術式選択の観点から注目すべきポイントを挙げ、チャートにて対象となる術式をわかりやすく示した。本講演は書籍の要点を凝縮した中身の濃い内容となった。

 講演後の質疑応答では、事前質問を含め多数の質問が寄せられ、大規模GBRおよびリッジプリザベーションに対する関心の高さがうかがえるとともに、講演中と同様わかりやすい回答・解説で盛会となった。

 なお、次回のWEBINAR#20は、きたる3月16日(水)、宮崎真至氏(日大歯学部附属病院保存修復学教室)を招聘し、「象牙質知覚過敏のArt & Science~日常臨床でできること、いないこと、わかっていること、今~」をテーマに開催予定である。申し込みはこちらから。

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