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2008年12月7日

ジーシー友の会学術講演会開催

「審美臨床の今、そして未来へ」のテーマのもと、海外演者3名を招聘

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 さる12月7日(日)、東京国際フォーラムにて、ジーシー友の会学術講演会「東京シンポジウム」が500名弱の参加者を集めて盛大に開催された。本シンポジウムはメインテーマに「審美臨床の今、そして未来へ~CT、インプラント、CAD/CAM~」を掲げ、コーディネーターに井上 孝氏(東歯大教授)を迎えて2部構成で行われた。

 審美とインプラントに着目した1部では、フルマウスディスインフェクションの提唱者の1人としても著名なDr. Marc Quirynen(フランス・Leuven大)が、「インプラントの早期の失敗、後期の失敗」と題して、根尖病巣がある歯を抜歯してインプラントを即時埋入する場合、インプラント根尖周囲炎が起こる確率が高いことを提示し、抜歯窩の処置には繊細な対応が必要であることを聴衆に警鐘を鳴らした。

 続いて登壇した行田克則氏(東京都開業)は、「インプラント間乳頭とジルコニア」と題して講演し、天然歯と比べてインプラント治療においては軟組織のコントロールが難しいことから、インプラント間乳頭を維持・再構築するためには埋入するインプラントの頬側骨の幅、量がキーポイントになるとした。そのうえで骨造成の必要性の有無を判断するというプロトコールを示した。

 1部の最後に登壇したDr. Harel Simon(アメリカ・USC)は、「審美歯科治療における歯肉色セラミックスの役割」と題して講演。歯肉色セラミックスを適用するために、いわゆるSiebertの分類にスマイルラインを加味した独自の分類法を披露した。

 その後、先出のシンポジスト3名とコーディネーターの井上氏によるパネルディスカッションが行われ、各シンポジストに主に手技に関しての多くの質問が投げかけられた。審美領域である前歯部インプラント治療においては、行田氏のいうように最近は頬側骨の状態が成功のカギとなることが多くの場で論じられるようになってきており、アプローチ方法が議論されている。今回のシンポジウムでもやはり焦点となった。

 パネルディスカッション後には、今や歯科医院の3種の神器になりつつあるコーンビームCTに焦点が当てられ、2名の演者が登壇した。

 Dr. Dale A Miles(アメリカ・Texas大)は「臨床家のためのコーンビーム・ボリューム画像・ガイド」と題して講演し、現在のコーンビームCTは各種ソフトによりさまざまなガイドサージェリーとして対応できるところまできていることを紹介。顎顔面外科医の立場からインプラント治療等のためだけではなく、習慣的に下顎頭を観察することの有用性を説いた。

 本シンポジウム最後の演者となった日高豊彦氏(神奈川県開業)は、「審美修復治療における新たな画像診断機器の可能性」と題して講演。コーンビームCTの登場によって画像診断の質が向上したことを受けて、懸案であるインプラント埋入部位の頬側骨が2mmは必要であること、とくに日本人の平均的数値からは骨造成の必要があることを示した。また、コーンビームCTにあわせて診断用ワックスアップとプロビジョナルレストレーションによる診断を併用することの重要性も力説した。