2022年9月1日掲載

宮地 舞氏が「歯科で気づく! 治す! 睡眠時無呼吸」のテーマでWeb講演

クインテッセンス出版株式会社、第28回WEBINARを開催

クインテッセンス出版株式会社、第28回WEBINARを開催
 さる9月1日(木)、宮地 舞氏(東京都勤務)によるWEBINAR #28「歯科で気づく! 治す! 睡眠時無呼吸」(クインテッセンス出版主催、北峯康充代表取締役社長)が開催された。本セミナーは『歯科医師のための睡眠時無呼吸治療 その基礎知識と口腔内装置治療の実践』の内容をベースに行われた。

 冒頭、宮地氏は、「なぜ歯科医師が睡眠治療にかかわる必要があるのか」を問題提起したうえで、睡眠時無呼吸は労働生産性の低下や多疾患につながることが立証されており、経済的にも損失が大きいことを説明。日本でも潜在的な睡眠時無呼吸患者が約3,000万人と非常に多い現状を述べ、「歯科の潜在的な新たな分野である」と睡眠時無呼吸治療に取り組むことの意義の大きさを強調した。

 次に、睡眠における研究の歴史やレム睡眠(浅い睡眠)とノンレム睡眠(深い眠り)を繰り返す睡眠メカニズムについて解説。なかでも最初のサイクル(90~120分の1サイクル)が睡眠の質を保つうえで重要であることが述べられた。あわせて、入眠と覚醒のコントロールに関与する因子として、概日リズムを調整するメラトニンとストレスとに関連性の深いコルチゾールについてもふれた。

 続いて、睡眠関連呼吸障害(Sleep Related Breathing Disorders:SRBD)のなかでも閉塞性睡眠時無呼吸(Obstructive Sleep Apnea:OSA)について詳説。1)舌根や扁桃の肥大などを理由に上気道が閉塞し無呼吸状態になる、2)窒息状態から覚醒することで気道が広がり呼吸が再開する、3)睡眠に入ると再び上気道が閉塞する、との睡眠時無呼吸に陥る負のスパイラルをわかりやすく示した。また、OSAを診断するうえでの基準となる無呼吸低呼吸指数(Apnea Hypopnea Index:AHI)を紹介し、その計測法やOSAの治療法の選択について示唆に富む内容を披露した。

 その後は、一般歯科に導入できる睡眠歯科治療について、書籍に掲載された該当ページを示しながら実際の治療の流れをチャートにて解説。特に歯科における対応では、潜在患者の発見(スクリーニング)と治療を成功に導くためのコーチングの重要性について述べた。また、「歯科で検査を行う場合は保険適用外」であることや「歯科の保険適用内で口腔内装置を製作する場合は、医科での検査・診断と紹介状が必要」など、治療を行ううえでの注意点や医科への紹介先の探し方といった円滑な医科歯科連携を行うためのポイントについてもふれた。

 講演後の質疑応答では事前に寄せられたものも含め、患者さんの詳細な症状を示し、かつ具体的な状況を想定した質問も多数寄せられた。睡眠時無呼吸治療に対する関心の高さがうかがえ、睡眠時無呼吸治療の普及に向けて期待の高まる講演となった。

 なお、次回のWEBINAR#29は、きたる9月22日(木)、関野 愉氏(日歯大)を招聘し、「エビデンス・アカデミア ~メインテナンスの重要性&口腔×全身疾患の関係の伝えかた~」をテーマに開催予定である。申し込みはこちらから。

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