2022年9月8日掲載

女性のライフステージに応じた口腔疾患をテーマに

ワンディー株式会社、伊藤加代子氏のWebセミナーを開催

ワンディー株式会社、伊藤加代子氏のWebセミナーを開催
 さる9月8日(木)、伊藤加代子氏(新潟大助教)による「『女性』のための歯科医療」と題したWebセミナー(ワンディー株式会社主催、松岡周吾代表)が開催された。

 新潟大学医歯学総合病院で「くちのかわき・味覚外来」を担当する伊藤氏は、その患者に60~70代の女性が圧倒的に多く、更年期を迎える頃から増加していることに注目し、歯科においても、口腔乾燥症以外にも性差があるのではと考えるようになったという。

 女性の口腔内は、思春期、妊娠期、子育て期、そして更年期以降と、生涯にわたって女性ホルモンの影響を受ける。伊藤氏はなぜ女性ホルモンの減少が口腔、そして全身に影響を及ぼすのかにふれながら、まず、更年期について定義から1つずつ解説。わが国では更年期女性の5~8割に更年期症状が現れ、その割合は女性の総人口の約16%に及ぶことや、更年期症状の多彩さと要因の複雑さから、男性には「怠け病」と誤解されてしまうこともあるが、閉経後の女性ホルモンの量は男性よりも低くなることなど、更年期の基礎知識から、評価、治療までをわかりやすく紹介した。

 次に、女性ホルモンに関連する歯科疾患を挙げ、なかでも口腔乾燥症について、くちのかわき外来での対応を基に問診から歯科治療上の注意点まで詳しく解説。特に、薬物療法をはじめ、唾液腺マッサージ、唾液分泌促進剤や口腔保湿剤の使い方など、口腔乾燥症の対応を紹介した部分では質疑応答で多くの質問が集中し、関心が集まった。たとえば唾液分泌促進剤の処方では、禁忌症例でないことを確認し、少量から始めること、また2割程度に副作用を経験することから副作用には注意することなど、伊藤氏からは具体的な助言が述べられた。

 女性患者さんが口腔乾燥などの訴えをもって来院した場合に備え、女性ホルモンの影響が口腔内にどのような症状として現れるのか、また、それにどう対応するのかを見直しておくべき必要性が語られた本講演。歯科で性差を扱うことは多くないが、講演後の質疑応答では多数の質問が寄せられるなど、視聴者の興味の高さがうかがえた。

ワンディーセミナーページ:https://oned.jp/events

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