2022年9月17日掲載

JACD創立30周年、咬合療法研究会創立20周年もあわせ盛大に開催

第10回日本包括歯科臨床学会 記念学術大会・総会が開催

第10回日本包括歯科臨床学会 記念学術大会・総会が開催
 さる9月17日(土)、18日(日)の両日、北九州国際会議場(福岡県)において、第10回日本包括歯科臨床学会記念学術大会・総会(上田秀朗大会長、国賀就一郎会長)が現地とWeb配信のハイブリッド方式で開催された。本会は、故・筒井昌秀氏(本会名誉顧問)と筒井照子氏(本会顧問)が設立したスタディーグループ・筒井塾の一環として活動するJACD(樋口琢善会長)と咬合療法研究会(藤田 亨会長)が統合し設立された学会で、10周年という記念すべき年を迎え盛大に学術大会が行われた。

 本学術大会は、「若手支部選抜セッション」「JACDセッション」「コデンタルセッション」「咬合療法セッション」「包括セッション」「DTセッション」「テーブルクリニック」から構成されており、包括歯科臨床を取り入れる歯科医院全体で参加できるものとなっている。

 このうち、JACDセッションでは「ペリオドンティストが目指す究極の治療とは?」と題し、樋口氏、白石和仁氏(ともに福岡県開業)、宮本泰和氏(京都府開業)が登壇した。樋口氏は骨欠損改善のキーワードとして、歯根膜の存在、血餅、フラップデザインを挙げつつ、特に氏が近年取り組んでいる成長因子を用いた重度歯周疾患への対応について解説した。また白石氏は、自身のチャレンジ症例を供覧しながら、歯周再生療法に用いられる材料の発展の速度、そして日々臨床に取り組む歯科医師によって同時多発的に確立される新しく確実な術式から、今後ますますシビアな症例が救われていくであろうとの展望が示された。宮本氏は、1980年代から現在に至る歯周外科治療の歴史、そしてみずからの歯周外科治療との出会いと研鑽の歴史について症例を交えて解説。結論ではセッションタイトルの答えを「predictability(予測可能性)とlongevity(長期予後)の差がほぼない治療のこと」とし、そのためにはまず結果を出して治療に対する患者さんの信頼を得て、セルフケアにつなげることが不可欠と語った。

 包括セッションでは「咬合再構成に必要なこと~予知性を高めるための知識と工夫~」と題し、本多正明氏(大阪府開業)、筒井照子氏(福岡県開業)、藤原康則氏(京都府開業)、中島稔博氏(福岡県開業)が登壇した。その中で本多氏は、咬合再構成における良好な長期予後を予知できる要素として8項目を挙げ、さまざまな病態や欠損、咬合に対し多角的な観点と予測に基づき行われる治療の実践について解説した。筒井氏は、開業以来47年にわたり行ってきた、個体別に存在する「見える病態」と「見えない病態」を見抜き癒やす歯科臨床について述べた。

 若手支部選抜セッションでは、最優秀賞として安藤正明氏(千葉県開業)の「臼歯部咬合崩壊症例に対して患者年齢と個体差を考慮し包括的治療を行った一症例」が選ばれた。本会における若手育成が円滑に進められていることが示唆され、今後の益々の発展が期待される学術大会となった。

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