2022年9月18日掲載

「ポストコロナ時代の口腔健康管理-口腔から支える健康長寿-」をメインテーマに

日本歯科衛生学会、第17回学術大会を開催

日本歯科衛生学会、第17回学術大会を開催
さる9月18日(日)から10月31日(月)まで、日本歯科衛生学会第17回学術大会(河野美枝子大会長、吉田幸恵学会長)が「ポストコロナ時代の口腔健康管理—口腔から支える健康長寿—」をメインテーマにWeb開催(オンデマンド配信)で行われている。当初は同学会初となる四国(徳島県)におけるハイブリッド開催方式で準備が進められていたが、新型コロナウイルス感染症の拡大状況を鑑み、昨年に引き続きWeb開催となった。

 大会テーマについても、開催時期には状況が落ち着いてきているだろうと見込んでの内容となったが、河野大会長(徳島県歯科衛生士会会長)からの挨拶においても、「いまだにポストコロナというよりもウィズコロナという状況である。だからこそ、口腔と全身の関連がよりいっそう注視される」などと趣旨が説明された。このような観点から、特別講演、教育講演、シンポジウム、日本口腔衛生学会共同企画、日本歯科保存学会共同企画、県民フォーラム、研究討論会、口演発表、ポスター発表など多彩なプログラムが企画されている。

 教育講演1では、宮本洋二氏(徳島大大学院医歯薬学研究部口腔外科学分野教授)が「なぜ、今、口腔がん検診か—口腔がん・口腔粘膜疾患の診かた・見つけ方—」と題して講演を行った。氏はまず、口腔がんの見分け方として、粘膜の表面が粗造・硬いなどの特徴を挙げたうえで、練習問題として実際の症例写真を多数供覧しながら、それぞれの腫瘍が良性か悪性かていねいに示した。また、口腔がん検診の進め方や、口腔がんが疑われる場合の対応などを解説するとともに、昨今の情勢により口腔がん検診がなかなか実施されづらい状況にもふれたうえで、「歯科医院で患者さんの口腔粘膜を診て、口腔がんが疑われる所見を早い段階で見つけてほしい」と強く訴えかけた。

 教育講演2では、鳥山佳則氏(東歯大短期大学長)が「これだけは知っておきたい研究倫理」と題して、主に倫理指針と利益相反に関する講演を行った。氏はまず、倫理指針について、令和3年6月から適用となった「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針ガイダンス」、および令和4年3月から適用となった「個人情報保護法の解説にともなう生命・医学系指針の改正」について詳説。難解と捉えられやすい内容を、歯科衛生研究でよくみられる実例を用いながら平易に解説した。また、利益相反については、「利益相反をなくすことではなく、適正に管理することが目標。透明性の担保が必要」と強調。そのうえで、自己申告書の内容は各学会によって規定されていること、同学会による指針は近日中に策定予定である旨を案内した。

 シンポジウム「ポストコロナ時代の口腔健康管理—糖尿病改善へのアプローチ—」では、吉本勝彦氏(加茂健やかクリニック院長、医師)による基調講演が行われたあと、3名が登壇。松山美和氏(徳島大大学院医歯薬学研究部口腔機能管理学分野教授)、松村晃子氏(徳島県栄養士会会長)、高石和子氏(川島病院歯科口腔外科、歯科衛生士)が歯科医師、管理栄養士、歯科衛生士の立場からそれぞれ自身の取り組みなどを紹介した。講演後には、吉田学会長による進行で総合討論も行われ、今後の展望・課題など活発に意見交換された。

 なお、次回の第18回学術大会は、きたる2023年9月16日(土)から18日(月)の3日間、静岡県コンベンションアーツセンター グランシップ(静岡県)において開催予定。

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