2022年10月2日掲載

「人生100年時代の歯科医療―生涯28へ向けて―」をテーマに

大阪大学歯学部同窓会、大阪大学歯学部創立70周年記念学術講演会を開催

大阪大学歯学部同窓会、大阪大学歯学部創立70周年記念学術講演会を開催
 さる10月2日(日)、大阪大学コンベンションセンター(大阪府)およびWeb配信のハイブリット形式にて、大阪大学歯学部同窓会(谷口 学会長)による歯学部創立70周年記念講演会が「人生100年時代の歯科医療―生涯28へ向けて―」と題して開催された。谷口氏および今里 聡氏(阪大歯学部長)の開会の挨拶後、講演が行われた。

 まず、天野敦雄氏(阪大大学院教授)が登壇し、基調講演を行った。う蝕予防や歯周病予防、それに付随する全身疾患の話から氏の考案した「生涯28」の概念、患者への接し方などについて解説した。また、「2040年への歯科イノベーションロードマップ」を紹介し、健康寿命を延伸するための未来予想図を提示した。

 つづいて3名の演者により、大阪大学大学院歯学研究科の最先端研究が披歴された。仲野和彦氏(阪大大学院教授)が「ミュータンスレンサ球菌が引き起こす脳出血の悪化」、加藤隆史氏(阪大大学院教授)が「Dental Sleep Medicine を支える新たな歯科医学研究」、竹立匡秀氏(阪大大学院講師)が「幹細胞移植による歯周組織再生療法の開発」の演題で講演した。

 その後、藤木省三氏(兵庫県開業)、佐々木 猛氏(大阪府開業)、林 美加子氏(阪大歯学部附属病院長)によるパネリストミニレクチャーが行われた。藤木氏は、「人生100年時代の歯科医療―う蝕と歯周病は過去の病気―」と題して「生涯28」を達成するためのかかりつけ歯科医の役割について解説。若年者のう蝕と歯周病予防の必要性を特に強調し、う蝕のハイリスク部位へのアプローチや患者教育、禁煙指導などの重要性を説いた。佐々木氏は「健康寿命の延伸を目指して―インプラント治療の挑戦―」と題して、超高齢社会におけるインプラントの役割を説明した。長期に機能するインプラントの条件として、天然歯との「連続性」とインプラント周囲の清掃性を挙げ、それを向上させるための埋入のノウハウについて解説した。林氏は「MI から始まる人生100 年時代の歯の保存」と題して、根面う蝕と歯髄保存について述べた。特に超高齢社会の大きな問題である根面う蝕に対しての、5000ppm高濃度フッ化物配合歯磨剤の有効性、サホライドの活用などについてエビデンスを基に詳説した。

 最後に行われたパネルディスカッション「人生100年時代へ向けてレジリエントな歯科治療とは」では、座長の天野氏の鋭い質問に対して3氏が回答、明日からの臨床に直結する話が展開された。

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