2022年10月5日掲載

「安心・安全な矯正歯科治療を求めて~COVID-19とともに歩む~」をテーマに

第81回日本矯正歯科学会学術大会開催

第81回日本矯正歯科学会学術大会開催
 さる10月5日(水)から7日(金)の3日間、大阪国際会議場(大阪府)とWeb配信のハイブリット形式にて、第81回日本矯正歯科学会学術大会(松本尚之大会長、齋藤 功理事長)が、「安心・安全な矯正歯科治療を求めて~COVID-19とともに歩む~」をテーマに開催された。本会併催の、2年に1度行われている日韓ジョイントシンポジウムも9回目を迎えた。

 齋藤理事長による挨拶の後、口演、シンポジウム、教育講演、特別講演、臨床セミナー、スタッフ&ドクターセミナー、企業プレゼンテーションなどのプログラムが行われた。

 このうち、Glenn T. Sameshima氏(米国・南カリフォルニア大主任教授兼プログラムディレクター)による教育講演「矯正歯科治療における歯根吸収(最新版)」では、矯正歯科治療が直接因子となって生じる外側根尖歯根吸収(EARR)とそのマネジメントについて、最新エビデンスと自身の数多くの臨床例から知見が述べられた。EARRの原因と事前に発見できるリスク、歯根吸収歯を有する歯列のマネジメントなどについて述べられ、「歯根吸収歯は無理に抜歯する必要はない」など、具体的な臨床における選択肢が解説された。

 また第9回日韓ジョイントシンポジウムでは、「矯正歯科治療による顎口腔領域における機能の改善と健康の増進」をテーマに、友成 博氏(鶴見大教授)、根津 崇氏(神奈川県勤務)、Sug-Joon Ahn氏(韓国・ソウル大教授)、Chooryoung Judi Chung氏(韓国・延世大教授)が登壇した。このうち友成氏は「矯正歯科治療による口腔機能の変化とその関連因子」と題し、口腔機能評価の方法と不正咬合の重症度との関係、最新のエビデンス、咀嚼トレーニングや外科的矯正治療を経た患者の顎口腔機能の変化などについて述べた。またAhn氏は、「関節円板転位患者の口腔機能と健康をいかに向上させるか」と題し、顎関節症患者においてもっとも認められる関節円板転位について、臨床上認められる所見、矯正歯科における対応や改善方法について知見を共有した。

 登録人数が5,000名超と多くの参加があった本大会では、固定式矯正装置による治療に関する講演が多くを占め、トピックとしては顎関節症や歯科矯正用アンカースクリューが目を引いたが、ポスター展示会場ではアライナー型矯正装置の研究や症例発表数が増え、デジタル矯正歯科の波を感じられる大会となった。

関連する特集