2022年10月16日掲載

「地域小児歯科のLevel Up!!」をテーマに

日本小児歯科学会、第37回関東地方会大会・総会を開催

日本小児歯科学会、第37回関東地方会大会・総会を開催
 さる10月16日(日)、取手市民会館・福祉会館(茨城県)において、日本小児歯科学会 第37回関東地方会大会・総会(田中晃伸大会長、浜野美幸会長)が「地域小児歯科のLevel Up!!」をテーマに開催され、665名が参集した。

 大会長である田中氏の座長のもと行われた基調講演では、弘中祥司氏(昭和大教授)が登壇し、「口腔機能の発達と障害」と題して講演。口腔機能がどのように発達していくかについてや口腔機能の発達支援・再獲得のための対応(治療)法などを「食べる機能」を中心に紹介した。また、平成30年4月に新病名として保険収載された「口腔機能発達不全症」については、まだまだ国民の認知が進んでいないとし、歯科からのさらなる情報発信や啓発の必要性を訴えた。加えて、口腔機能発達不全症はできるだけ早い時期から治療を行うことが効果的であることから、早期発見の重要性を強調した。

 続いて行われた特別講演Ⅰでは、「小児歯科医として知っておくべき全身状態の基礎知識」と題して仲野和彦氏(阪大教授)が登壇。最近の小児歯科学の教科書に「歯科治療上注意すべき全身疾患」として記載されている疾患の基本事項を概説した後、氏が作成に携わった「感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン(2017年度版)」および遺伝性の骨系統疾患の1つであり、乳歯の早期脱落などをきっかけとして歯科から疑い症例を発見することも可能な「低ホスファターゼ症」について解説した。

 午後に行われた臨床講演「子どもの虐待のみかた~虐待のない世の中を目指して私達歯科医療者にできること~」では、小児科医である仙田昌義氏(医師、総合病院国保旭中央病院)が登壇し、日々の診療のなかで子どもの虐待を見逃さないための“診方(みかた)”と子どもの“味方(みかた)”であるために、虐待が疑われる子どもやその保護者に対応する際の注意点などを解説した。また、氏は、虐待を疑う所見に気づいた際は、目を背けたり、過小評価したりせずに、児童相談所等への通告をためらわず行ってほしいとくり返し述べた。

 その他にも、特別講演Ⅱ「日本の口腔がん事情―AYA世代の口腔がんを考える―(柴原孝彦氏、東歯大名誉教授)」、認定歯科衛生士地方会研修セミナー「障害者歯科診療のススメ(野本たかと氏、日大松戸歯学部教授)」、研究者の集い(3題)、ポスター発表、ランチョンセミナー、企業セミナーなどが行われ、大会は成功裏に終了した。

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