2022年10月23日掲載

医科歯科ともに関連性の高い議論が展開

第3回くちを大きく考えるシンポジウム開催

第3回くちを大きく考えるシンポジウム開催
 さる10月23日(日)、東京ビッグサイト(東京都)において、第3回くちを大きく考えるシンポジウム(株式会社野村クリエイト主催)が開催され、会場には約200名の医療関係者が参集した。

 本シンポジウムでは、多種多様な分野における大学人や医師・歯科医師が演者として招かれ、それぞれの視点から睡眠歯科治療や痛み止めの処方、摂食嚥下などをはじめとする医科歯科ともに関連性の高い話題を中心にバラエティーに富んだ講演が行われた。

 冒頭の開会挨拶で発起人の野村洋文氏(埼玉県勤務)は、本シンポジウムの目的として「未来の歯科医療への投資と発展の布石となること」を掲げ、「何か1つでも心や脳裏に焼き付いてお帰りいただけたら主催者の冥利に尽きる」と述べた。以下に講演タイトルと演者を示す。

・「催眠歯科学総論『ストップザイビキ~そのイビキ!歯科で治るかもしれません!?』」(外木守雄氏、日大歯学部口腔外科学第Ⅰ講座教授)
・「特別講演『女性がいつまでも美しく輝くために』」(杉本 彩氏、女優・美容家/聞き手:青木 晃氏、医師・銀座よしえクリニック都立大院院長)
・「癌の最先端研究」(上久保靖彦氏、医師・千葉県がんセンター研究所・発がん制御研究部部長)
・「味覚の最新研究」(朝倉富子氏、医師・東大大学院農学生命研究科特任教授)
・「統計学はこんなにも面白い!」(新谷 歩氏、医師・大阪公立大大学院医学研究科医療統計学教室教授)
・「痛み止め、どれを飲んでも良いの?」(三木健司氏、医師・大阪行岡医療大医療学部特別教授、早石病院疼痛医療センター長)
・「摂食嚥下について」(津田豪太氏、医師・聖隷佐倉市民病院耳鼻咽喉科部長、摂食嚥下センター・リハビリテーションセンター長)

 なかでも、最初に講演した外木氏は、睡眠時無呼吸症の特に閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の治療法について解説。いびきの危険性や睡眠障害の種類について説明した後、いびきをかく原因には「舌と軟口蓋が落ちること」と述べ、下顎を前に出すことで気道を確保する外科手術を紹介した。また、手術を検討するにあたり年齢や顔面形態などの留意事項についても説明した。

 特別講演は杉本氏と青木氏(聞き手)による対談形式で行われ、杉本氏がこれまで健康や美のために取り組んできた食習慣や運動といった内容を中心に展開された。また、杉本氏は近年話題となったアンチエイジングという言葉に対して、違和感をもっていることにふれ「老化に抗うのではなく年を重ね成熟していく」と、年を重ねることに関して前向きな考え方を紹介した。講演の最後には、「社会的成功=人生の成功とはかぎらない、死ぬ直前に人生を振り返った時かっこいい魂で死を迎えられることが重要」と述べ、杉本氏のもつ人生観について言及されたことも印象的であった。

 最終講演では、津田氏が摂食嚥下を疑う問診・観察ポイントを中心に解説。むせるタイミングごとの対処方法について詳説した際に、「食後しばらくして誤嚥するタイプの人は特に注意して観察する必要がある」と述べた。その後は、嚥下障害におけるスクリーニング検査やフレイルを判断する診断基準についてふれた。

 講演後は、野村氏による閉会挨拶が述べられ成功裏に終了した。

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