2022年10月30日掲載

医科歯科連携をテーマに今村栄作氏、古屋 聡氏、飯田良平氏らが講演

東北大学歯学部同窓会、第37回卒後研修会を開催

東北大学歯学部同窓会、第37回卒後研修会を開催
 さる10月30日(日)、東北大学歯学部同窓会(大内光太郎会長)による第37回卒後研修会が、Web配信にて開催された。今回は講師に今村栄作氏(横浜総合病院)、古屋 聡氏(医師、山梨市立牧丘病院)、飯田良平氏(神奈川県開業)を迎え、「100年の計を見据えた歯科医療・歯科医学を考える―現場の声を聞こう! 医科歯科連携―」をテーマに講演が行われた。

 最初に今村氏が「病院歯科口腔外科における医科歯科連携~歯科治療併発症から治療前後のマネージメントまで~」と題して登壇。重篤な併発症の前にはニアミスやヒヤリハットがあり、これらに気づかなかったり適切な処置がなされなかったりすると医療事故や有害事象が起きるとして、歯科的リスクマネジメントについて、とくに高齢者の外科処置時に注意したい全身疾患を中心に、症例を交えながら解説した。

 続いて古屋氏が「医科の視点から歯科に求めるもの」と題して登壇。氏は、かねてより在宅口腔ケアや摂食嚥下リハビリテーションの重要性を訴えている整形外科医で、2000年ごろよりこの分野に注力している。訪問口腔ケアで著名な牛山京子氏(フリーランス訪問歯科衛生士)との出会いや、取り組みのきっかけとなった症例の話などから在宅医療における口腔へのアプローチの重要性を訴えた。また、医科と協力して「食べる」を中心とした生活の主治医になってほしいと歯科に要望した。このほか、災害地域での活動についてもふれ、災害によって高齢者の孤立や食習慣・栄養におけるさまざまな問題が起きているが、ここ数年のコロナ禍も高齢者に厳しい状況をもたらしているとした。

 最後に登壇した飯田氏は、「最期まで尊厳のある口を支援する訪問歯科診療~東日本大震災後の気仙沼市での活動を交えて~」と題して講演した。国が在宅や施設での看取りを推進していることや、認知症・独居要介護者の増加、終末期における口腔衛生管理と口から食べる支援の重要性が広がりつつあることから、歯科が地域医療や終末期医療へ参画し、食べる機能の回復に目を向けるべきであると述べた。そのうえで、訪問歯科診療における実際の取り組みをケースで紹介。終末期に歯科がかかわることの意義などを述べた。ケースの中には、氏の御尊父の終末期の様子も語られた。また、2011年の東日本大震災時の活動なども取り上げ、住み慣れた場所で最期まで暮らせるよう歯科から支援し、尊厳のある口腔を維持する役目があることを歯科医療者が意識してほしいと述べた。

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