2022年11月15日掲載

須崎 明氏、上原孝文氏が「Dr.DTが語る 今! こうすれば上手くいく! CAD/CAMインレー修復」をテーマにWeb講演

クインテッセンス出版株式会社、第33回WEBINARを開催

クインテッセンス出版株式会社、第33回WEBINARを開催
 さる11月15日(火)、須崎 明氏(愛知県開業)、上原孝文氏(歯科技工士、愛知県歯科技工所開業)によるWEBINAR#33「Dr.DTが語る 今! こうすれば上手くいく! CAD/CAMインレー修復」(クインテッセンス出版主催、北峯康充代表取締役社長)が開催された。本セミナーは、11月新刊『保険の審美修復を極める CR&CAD/CAM冠・インレーに対応 きれいで長持ちを実現するポイント集』の内容をベースに行われた。

 須崎氏と上原氏は冒頭、高騰する歯科用貴金属の代替材料としても注目されているCAD/CAM冠ブロックを使用する、2022年4月の診療報酬改定で保険収載されたCAD/CAMインレー修復に言及。メタルインレーとCAD/CAMインレー双方の適合性の違いや歯科技工料の差、保険で効率的に行ううえでのタイムマネジメントの重要性など、歯科医師・歯科技工士の両者の立場から解説および意見が交わされた。上原氏は、CAD/CAMインレーのマージン適合についてふれ、「外側性であるCAD/CAM冠に比べ、CAD/CAMインレーは内側性と外側性が入り乱れることで総じて難度が高くなる」と述べ、構造的に適切な適合を得ることの難しさを指摘した。

 次に、上原氏が「小臼歯・大臼歯の窩洞形成を行う際に歯科医師に注意していただきたいポイント」について詳説。特に1)インレー体の破折を避けるためイスムス(狭窄)部について1.5㎜以上の厚みを残すこと、2)スキャニング精度を高めるため窩洞側壁のテーパーは4°~6°とすること、3)インレー体のチッピングを防ぐためバットジョイント(ノンベベル)とすること――の3点が強調された。須崎氏は、「マージンラインを設定しやすくするための明瞭な外形線の引き方」を解説。超音波スケーラーにダイヤモンドチップを装着して形成を行うことで、隣接面を傷つけることなく短時間で容易に適合性の良い窩洞形成が可能となることや、適合の良いCAD/CAMインレーのミリングが可能となるなど、明瞭な外形線を引くためのポイントを解説した。

 その後は、両氏が歯科医師・歯科技工士の立場から正確な咬合や印象を採得するための要点や、ワックスアップ模型と作業用模型の両方をスキャニングすることが術者の理想とするインレー形態の再現に重要であることなど、CAD/CAMインレーを製作するにあたり配慮すべき詳細について言及した。

 講演後の質疑応答では、適合性の良い補綴装置を製作するためのラボとの連携についての質問が寄せられ、上原氏は歯科技工士の立場から「お得意先のラボをつくること。そして、製作された補綴装置に対して歯科技工士にフィードバックを行い、適合性のすりあわせを行うこと」と回答。また、須崎氏は、形成後のレジンコーティングについての質問に対し「新鮮面を出して接着力を安定させることが重要。仮封材はレジン系のものを推奨する」と述べた。

 今回、歯科医師と歯科技工士の両者の視点から、CAD/CAMインレー修復における長期予後と審美性を兼ね備えた製作のかんどころや注意点などについて意見が交わされ、両者の連携による普及への期待が高まる講演となった。

 なお、次回のWEBINAR#34は、きたる12月8日(木)、石塚洋一氏(東歯大衛生学講座准教授)、山田美穂氏(歯科衛生士)を招聘し、「濃度(ppm)だけじゃない! 効果を左右する『使い方』に注目。フッ化物配合歯磨剤アップデート」が開催予定である。申し込みはこちらから。

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