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2022年11月22日掲載

岡藤範正氏が「矯正歯科治療の基礎知識 矯正歯科治療の責務について」をテーマにWeb講演

クインテッセンス出版株式会社、「JAO日本版」創刊1周年記念Webセミナー(第1回)を開催

クインテッセンス出版株式会社、「JAO日本版」創刊1周年記念Webセミナー(第1回)を開催
 さる11月22日(火)、クインテッセンス出版社が刊行するアライナー矯正歯科専門誌「JAO日本版」創刊1周年記念Webセミナー(全5回)(クインテッセンス出版主催、北峯康充代表取締役社長)の第1回目が開催され、岡藤範正氏(松本歯科大教授)が「矯正歯科治療の基礎知識 矯正歯科治療の責務について」のテーマでセミナーを行った。

 冒頭、岡藤氏は日本矯正歯科学会のホームページに掲載されているアライナー矯正治療に関するいくつかのアナウンスを提示し、アライナー型矯正装置を取り巻く現況とそれに対する専門学術機関の見解を紹介した。その中で公的機関がアライナー矯正治療をどのようにとらえ、国民にアナウンスしているかを知り、患者がどのような情報をもって治療を受けに来院しているのかを歯科医師も理解する必要があると強調した。また、矯正歯科治療の必要性について機能的な要因(咬合異常)と社会心理学的な要因(容貌)の2つを挙げ、DAI(Dental Aesthetic Index)、IOTN(Index of Orthodontic Treatment Need)、PAR(Peer Assessment Rating)などの指標を用いて数値化し、矯正歯科治療を客観的に評価することでその意義を明らかにしていることが示された。そしてアライナー矯正治療においてもこのような数値化はなされており、「JAO日本版」2022年1号に掲載されている「PARインデックスを用いたアライナー矯正治療の評価」(Ramis M氏ら)が紹介された。

 その後、アライナー矯正治療にも必要な基礎知識として1880年代からのアメリカでの歯科矯正学における診断・治療法の流れが簡単に紹介され、「JAO日本版」2022年6号に掲載の「知っておきたい矯正歯科学の基本の『き』」でみずから解説したAngleをはじめとする不正咬合の分類について、誌面を示しながら説明した。また、抜歯・非抜歯治療の歴史についても概観し、「JAO日本版」に岡藤氏の監修により連載されている「論文・症例を読み解くためのアライナー・キーワード」の隣接面削合(IPR)の誌面を示しつつ(「JAO日本版」2022年1号掲載)、IPRや歯科矯正用アンカースクリューの利用によって、非抜歯での対応が増加しているという治療方法の変遷についても言及した。

 また、矯正歯科治療を行うにあたり不可欠な知識として「知っておきたい矯正歯科学の基本の『き』」(「JAO日本版」2021年1号2022年1号)に掲載された模式図を用いて、矯正的歯の移動について解説した。さらに、アライナー矯正装置は歯の全体を覆うことで三次元的に矯正力をかけられる点が大きなメリットであることを挙げるとともに、歯冠にしか装着できないことにともなう傾斜移動についての問題も提起された。

 最後は各社から現在日本で販売されているアライナー型矯正装置とその特性を紹介し、「症例に合わせてアライナーを選択し治療に取り入れていくことが望ましい」としたうえで、JAO英語版編集委員長Schupp W氏のアライナー矯正歯科の20年を振り返る誌説(「JAO日本版」2022年6号)を引きつつ、アライナー矯正歯科が過渡期であると締めくくった。

 なお、今後の「JAO日本版」創刊1周年記念Webセミナーは、第3回がきたる12月7日(水)に尾島賢治氏(東京都開業)、第4回が12月14日(水)に菅原準二氏(宮城県開業)・尾島氏、第5回が12月21日(水)に佐本 博氏(東京都開業)を迎えてそれぞれ開催される。受講料は無料、申し込みはこちらから。また、第1回の岡藤氏、第2回の岡野修一郎氏(歯科医師・Aligner Studio、11月30日開催)のセミナーを含めた全5回すべて、各回の開催翌日より2023年1月12日まで振り返り配信がある。

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