2022年11月26日掲載

「光線がもたらす最新歯科治療とその生物学的効果」をテーマに

第34回日本レーザー歯学会総会・学術大会開催

第34回日本レーザー歯学会総会・学術大会開催
 さる11月26日(土)、27日(日)の両日、東京医科歯科大学M&Dタワー鈴木章夫記念講堂(東京都)において、第34回日本レーザー歯学会総会・学術大会(青木 章大会長、吉成伸夫理事長)が開催された。

 「シンポジウム 最新の光線歯科治療」では、臨床現場における各種レーザー治療の実際について、5名の演者より報告。まず水谷幸嗣氏(医歯大助教)が「Er:YAG レーザーによる最小侵襲の歯肉審美治療」と題し、Er:YAGレーザーの熱傷害や疼痛もなく処置部位を限局的に蒸散できる特性をふまえた歯肉審美障害であるメラニン色素除去およびメタルタトゥーの除去治療について術前・術後の写真を供覧し、その成果を提示した。

 続いて、津久井 明氏(神奈川県開業)が「半導体レーザーによる高齢者、有病者の軟組織への有効性」との演題で講演。降圧剤や抗血栓薬を服用しているケースが多く、局所麻酔薬が使いにくい高齢者や有病者に対し、半導体レーザーの利点である止血効果により創面を凝固させることで、開放創での処置も可能となることを紹介した。

 大郷友規氏(大歯大非常勤講師)は「炭酸ガスレーザー照射による抜歯後の血液凝固と特異な抜歯窩歯槽骨の治癒形態」との講演で、炭酸ガスレーザー照射による抜歯窩表層まで満たした血液を凝固させて人工的に形成した痂皮によって、抜歯窩内の血餅保持と血液流出防止により新生骨形成を促進させ、歯槽骨頂の維持にも役立つ処置法について解説した。

 谷口陽一氏(北海道開業)は「レーザーを応用した骨再生治療は技術的特異となりえるのか?」のなかで、大きな侵襲をともなうなどメンブレンを使用した骨増生の欠点を補う治療法として、自身が考案したLaser-assisted Bone Regenerative Therapy(LBRT)を紹介。インプラント治療時の骨量不足部位に対し、血液と混和した骨移植材料填入後、表面をレーザー照射により血餅を形成し、骨形態を維持安定化させることで、骨再生をはかった症例を供覧した。

 最後に「レーザーを使用した審美歯科治療」と題し、永井茂之氏(東京都開業)が登壇。レーザーの導入による治療オプションが増えるメリットがある一方、限界もあることをふまえたうえで、適切な検査、診断のもとに、その優位性を活かしていきたいとの見解を述べた。

 そのほかに、海外からのオンラインによる特別講演2題や、理事長講演、安全講習会、認定講習会、教育講演、企業共催セミナー、ポスター発表など多彩なプログラムが展開された。

 来年は、医科系の日本レーザー医学会、日本光線力学学会、日本脳神経外科光線力学学会と本学会の4学会合同の形で、きたる2023年11月25日(土)、26日(日)の2 日間、京王プラザホテル(東京都)において開催予定である。

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