2022年12月1日掲載

国内外からアライナー矯正歯科の叡智が集結

第9回日本アライナー矯正歯科研究会、Web配信にて開催

第9回日本アライナー矯正歯科研究会、Web配信にて開催
 さる12月1日(木)、2日(金)の2日間、第9回日本アライナー矯正歯科研究会(JAAO、日本アライナー矯正歯科研究会主催)がWeb配信にて開催された。同研究会主宰の尾島賢治氏(東京都開業)が司会・進行を務めた本会には、計19名の演者が登壇し、アライナー矯正治療に関する最先端の知見が共有された。

 1日目は主に国内の演者で構成されたプログラムで、山崎長郎氏による「矯正治療の限界と外科矯正」、大河雅之氏(ともに東京都開業)による「Classification of veneer restorations for anterior teeth」、中田光太郎氏(京都府開業)による「歯周病の観点からのアライナー矯正治療の有効性」など、アライナー矯正治療を用いた総合的歯科治療の可能性と限界などについて講演が行われた。

 2日目はアメリカ、ドイツ、スペイン、香港、韓国、タイの6か国から演者が登壇し、形状記憶機能をもつ新素材を用いた治療や、CBCTや顔面スキャンデータなど多角的な3Dデータを取り入れた治療計画立案、歯科矯正用アンカースクリューを用いた難症例へのアプローチ、Digital Maxillary Skeletal Expander(DMSE)を用いた歯列弓側方拡大をともなう治療など、さらに革新的なアライナー矯正治療のアプローチや知見について講演が行われた。

 2日間をとおして主題となったのは、世界のアライナー矯正治療はすでに第5世代に突入しているというトピックであった。アライナー型矯正装置の歴史としては、石膏模型と樹脂で直接装置を手製する第1世代、石膏模型をスキャニングしアライナーメーカーに装置の製作を依頼する第2世代、光学印象を採得しアライナーメーカーに装置の製作を依頼する第3世代、光学印象採得とソフトウェアによる治療計画立案後にプリントした歯列模型をもとに装置を院内製作する第4世代があったが、すでに世界は光学印象データから直接院内で装置を製作する第5世代を迎えているとした。また、第5世代の治療を各医院が行うにあたってはその質を第3世代より落としてはならず、そのためにはハイスペックなソフトウェア、ハイスペックな3Dプリンタ、そして高品質のマテリアル、つねに刷新される術者の専門知識が必要であることが複数の演者から述べられた。

 本会プログラムの最後には、来日したRavindra Nanda氏(米国・コネチカット大歯学部矯正歯科名誉教授)が、「Evidence Based Studies and New Generation of Aligner」と題しライブ出演した。アライナー矯正治療におけるダイレクトプリントの長所と展望について解説した氏は、「どの装置を使うにしろ、そしてどのように矯正歯科が進歩しようとも、つねにエビデンスに基づくこと、クリニシャンかつ科学者であることが必要である」として講演を締めくくった。

関連する特集